素敵な光景を目にした。

電車に乗っていた僕。高田馬場駅に停車すると車内から大きな声が聞こえてきた。

「おじいさーん!おじいさーん!」

声の主は男子高校生。何やら大きな紙袋を片手に扉から外へ身を乗り出して叫んでいる。高田馬場駅で降りて行ったおじいさんが、紙袋を忘れていったようだ。

本当なら追いかけて渡したいが、高校生くんにも予定があって、降りるに降りられない。そんな状況。

すると外からお姉さんが駆け寄り、

「どの人?あの服の人ね!わかった!」

そういって荷物を受け取り走って追いかけた。

プシュー。

扉は閉まり、電車は動き出す。夢中で大きな声を出した高校生くんは恥ずかしそうな顔で下を向く。何も恥ずかしいことじゃない。素晴らしかった。とっさになかなかできるもんじゃない。優しさいっぱいの高校生くんから、それに引き寄せられた優しいお姉さん。

心がほっこりしました。

西武新宿駅に着き、僕は彼とのすれ違いざまに、よくやってね!という想いを込めて肩をポンッと、、、やってはいないのだけど、やりたかったなと思いました。

紙袋はきっとおじいさんのもとに届いてる。