月に一度東京に行っています。道中の長い移動距離は当然一人なので、誰かと話すことはほとんどない。だから気持ちは「無」なのかというとそうではない。頭の中でむちゃくちゃしゃべっている。なんなら誰かといるときよりしゃべっているかもしれない。

2月22日(水)

●22:55
名古屋駅にて。

名古屋発の夜行バスの時間まで名古屋駅で待つ。目の前を編みタイツの女性二人組が通りすぎる。目で追ってしまう。いや別に編みタイツ好きなわけじゃないんだけどやっぱり編みタイツってやつはパワー強いから好きじゃない人ですら興味を持たせてしまう。その瞬間わ見られて問い詰められれば興味もってない人もただの変態として扱われてしまうことだってある。これはもうトラップに近い。編みタイツって恐ろしい。

●23:15
名古屋駅にて。

むっちゃ人いる。春休みかな?若い女性の集団が多い。僕、よしもとでお笑い芸人を10年以上やっていますが、この若い女性たちのうち誰一人として声をかけられません。やっぱり街中で声をかけられるかけられないっていうのは芸人としてのステータスみたいなところがあるような気もするんです。頑張らなきゃな、そう思っていたそのとき!「いわしさんですか?」ありました!声かけられました!やりました!テンションの上がる僕。誰なんだあの人は?もしや芸能人?とザワつく周囲。「いわしさん!私前にバイト先が一緒だった◯◯です!」いやバイト仲間かい!寂しさが少しやわらいだ。

●23:30
バス集合場所にて。

雨が降っている。屋外の集合場所のため傘をささなきゃいけない。しかしこの夜行バスに乗る人は遠出をする人。傘はやっぱり持ちたくないもので、傘なしで濡れたまま待っている人が多い。僕もそのうちの一人なんだけど、なんてこったい!もしここで僕がおっきな傘でも持っていようもんなら「もしよければ入りますか?」という優しい傘おじさんになれたっていうのに。きっとバス乗車までどこ行くんですかトークを楽しんで、最後に記念撮影したらその子たちがインスタに「#傘おじさん」なんていってアップしてたちまち話題の人になったりしてね。傘を持っていないことに後悔。不純な理由のような気もしますが。

●23:45
バス乗車。

席に着くなり隣の席の男がシューシュー言ってる。おいおい、なんだっていうんだい!さっきから気の抜けるような音を鳴らして。夜行バスだよ?じっとして寝なさいよ。そんなことを思いながらジロッと隣を見てやると信じられない光景が。いやまぁ、バスの中でシューシューっていったら持参のマクラに空気入れてるのかな?抜いてるのかな?が定番だと思ってたんだけど僕の隣の男ったら、、、ストローに息吹き込むと先っちゃが三つにピローンてなるやつをやってるではないか。は?なんで?なんでここで?夜行バスだよ?これから何か始まるの?やめてよ?夜の12時前だよ?恐ろしいやつが隣にいた。

2月23日(木)

●0:05
シューシュー男

勝手に命名シューシュー男。そりゃそうなる。静かに寝てスタートするはずの快適夜行バスの旅がまさかのシューシューと音を鳴らしストローをピローンしてる謎の男と隣り合わせなんだもん。シューちゃんだ。いやそんな可愛らしいもんじゃない。はぁ!まったくもう!と思っていると、間も無くシューシュー音はなくなった。無音、就寝の時間。すると頭の中が疑問でいっぱいに。なんでシューシューなんだろう?どこで使うんだろう?なぜあのタイミングでやらなければいけなかったんだろう?眠れなかった。

●1:05
最初のサービスエリア

頭の中で疑問と妄想が広がり寝れずにやってきた最初のサービスエリア。ここでリフレッシュをして寝よう。トイレへ向かった。はぁ~スッキリ、トイレから出ると「シューシュー!」は?なんでだよ!またかよ!何の練習だよ!トイレの外でシューシューやってやがった。何か大事なステージがあるのかな?それに使うストローだから不安で確認してるのかな?にしてもだよ。にしても。

自分なりにある程度納得させ、なんとか眠りについた。