今回、県央史談会総会前の講演(口頭報告)に、第5回「湘南社」民権資料展(2023年8~9月開催・雨岳民権の会)を題材とした同一テーマの『海外編』青年群像を『県央史談』に投稿した。そのタイトルは資料展と同じ「この地から海を渡った民権派青年たち」とのタイトルで、近藤賎男(1867~1927・平塚市山下出身)、鈴木房五郎(1861~1894・大磯町寺坂出身)、後藤濶(1861~1889・大磯町寺坂出身)、小澤正太郎(1867~1920・伊勢原市西富岡出身)、長峰浅吉(1862~1917・二宮町山西出身)猪俣弥八(1868~1902・平塚市南金目出身)、堀江弥八(1869~1935・伊勢原市西富岡出身)の6人の青年たちを取り上げた口頭報告を行うことになった。これは同名での冊子化も完成しており《、資料展・冊子化・口頭報告》と、3つの完成の最後の〆の報告となった。

 今まで、雨岳民権の会の「湘南社」社員発掘の私の調査研究の言わば「総集編の総括」というような内容で、2024年1月21日のアミュー厚木5階ルーム504で開かれる口頭報告(講演)に、今から頭をひねっている。鈴木房五郎の人物発掘を行ったのが2018年に『自然と文化』(平塚博物館研究紀要・第41号)を探索の出発点にして、2019年の「猪俣弥八の生涯」との『県央史談」への投稿、鈴木房五郎の同郷・同学年の友・後藤濶への新たな人物発掘、さらに渡米直後の石阪公歴をお世話した「公歴の友」鈴木房五郎と近藤賎男、これらの青年群像に加えて石阪公歴らの発行した『邦字新聞新日本』の関係者、小澤正太郎とアンナーバー時代の南方熊楠の周辺にいたミシガン大学の留学生たちと熊楠が発行していた『大日本』や『珍事評論』などのこと等、探索は『海外編』青年群像におおきく広がっていった。

 今まで「湘南社」社員探索で突き当てた青年たちは、皮肉にも『海外へと赴いた青年たちばかりであった。そんな訳で、ここ5~6年の調査研究の青年たちは、在米の日本人民権運動に絞られていった。近世から近代への移行期に、在るべき未来の日本がどうあるべきか、変動期の時代に、変換期の日本を問うた青年たちの思いは、現在の時代にも、つながった意味をもつものとして、問われているものの一つであろうかと思う次第だ。この2024年の1月に開催される本講演が成功裏に終わることを願っている。県央史談での講演を本ブログで紹介した次第である。