『アフガンの息子たち』

エーリン・ペーション

ヘレハルメ美穂・訳

小学館24.2

 スウェーデンに、一人で逃れてきた児童・少年の収容施設が舞台だが、この物語のラストでは廃止されて、高齢者施設に変わる。周辺の住民は快く受け入れていなかった。むずかしいものだな。それでも、収容所の廃止に伴い出ていく少年を養子として受け入れる家庭はある。

レベッカはここで働く女性。彼女の担当はアフガニスタンから逃れてきた三人の少年だ。彼女の日誌のような記録的な淡々とした語りで進められていく。と言っても、ほぼ同世代の彼女は少年たちに心を寄せていく。

ザーヘル14歳。ハーミド18歳は制限年齢が来て「祖国」への強制送還を迎える時、脱走して自殺する。アフメドはドイツに行くと告げて脱走する。

2015年には3万5千人を超えたという。2022年にも600人以上が到着しているという。児童は一時収容施設に入居し、移民局が受け入れ自治体の割り当てをする。受け入れ自治体の社会福祉局は住居や後見人を手配し、学校に行く権利も保障する。さて、日本ではどうだろう……。

作者ペーションは1992年生まれ。これがデビュー作で、2020年に出されると、21年には北欧理事会文学賞YA&児童書部門を受けている。ソーシャルワーカーとして難民児童施設で働いたことがあるそうだ。とても難しい仕事だったと語っているそうだ。(訳者あとがき)

扉にこう書かれている。

「男の子たち、みんなへ。

 あの日々をありがとう。明るい日々も、暗い日も。」

児童文学というよりも大人たちに読んでほしい。