日高敏隆

『人間は、いちばん変な動物である』

 山と渓谷社 22.3 950円+

 3年生の国語教科書に、説明文「花を探す手がかり」という短い文章があった。モンシロチョウは何を手掛かりに花を探すのか。においでしょうか、形でしょうか、色でしょうか……。という問題提起で、日高先生と東京農工大の学生が実験するというもの。ちょうど、アニマシオンを始めた頃で、これで、クイズ大会をした。「だれが実験をしましたか?」という質問は簡単にすむと思いきや、「日高敏隆先生」というチームに対して、「先生が一人で、こんないたくさんのチョウを何度も集まられるわけがない。たくさんの学生が必要だ」という意見が出て、もう一度文章を読み直して議論したり……、とても面白い展開になった。以来、日高先生のファンが増えた。私もその一人。

 日高先生は2009年に亡くなられたが、この本は、京都精華大学局員教授をされていた時にされた半年間の講義ビデオを整理、編集されたもので、先生のざっくばらんな語り口による、興味深く、どんどん深みに引き込まれていく本である。

 動物の中で、人間は一番ヘンな生き物なのだという切り口から、次第に言語や社会、オス・メスの存在、想像力、さらにイリュージョン(思い込み)の大切さに導いていく。

 孫・ゆあんとの京都・奈良旅行の4日間、読み続けた。おすすめだ。