映画『ルイス・ウエイン 妻と猫を愛した男』

日比谷シャンテ

 娘いずみが日本語字幕を担当した映画『ルイス・ウエイン 妻と猫を愛した男』を観てきた。「19世紀末から20世紀にかけて、英国で知らないもののなかった、大人気イラストレーター、ルイス・ウェイン。当時、ネズミタイジ役として軽くみられるか、不吉な存在として恐れられていた猫の魅力を最初に“発見”、した“猫画家”だ」とパンフに紹介されている。実話に基づくドラマだ。

 身分・階級差別の支配する時代。上流階級の生れであったルイスは若い日に父を亡くし、母と5人の妹を養う身となった。そのため、「イラストレイド・ロンドンニュース社」の専属イラストレーターとして働く。このオーナー、ウイリアム卿が生涯のスポンサーであり、親友となる。妹たちの家庭教師として来たエミリーと恋に落ち、周囲の反対を押し切って結婚する。しかし、間もなくエミリーには末期がんが発見され、3年後に亡くなる。その闘病中、なぐさめとなるのが、雨の中、庭で鳴いていた子猫ピーターであった。ピーターの絵を描くうち、エミリーの勧めでウイリアム卿に見せた絵が採用され、人気を博す。こうして、エミリーの死後にはネコのイラストレーターとして、世界の人気を得る。しかし、その成功は経済的な富をもたらすものではなく、老後は精神分裂病(統合失調症)として収容されて生涯を終えていく。

 彼を支えたエミリーの言葉が印象的だ。

「苦難に満ちていても、それでも世界は美しさに満ちている」(正確ではないけれど)

 いい言葉だ。

  ルイスの描く猫たちはデファオルメされていて(特に大きな目。少女漫画のような⁈)、個性的で、愛くるしい。今日、猫が犬とともにペットとして可愛がられるようになるのには、ルイスの功績が大きいと言われる。