『アフリカに咲く熱帯の花、笑顔の花 ワイルドフラワー120』

島岡由美子 かもがわ出版2022.2 2,000円+

アフリカの花というのは、とにかくエネルギーにあふれている。まず、思い浮かぶのは「バオバブ」ではないでしょうか。根っこが上になっているような大木。これも花が咲き、実がなるんですね。「傘つきの裸電球のようにも見える。美しくもユーモラスな形の真っ白の花」。

 そのバオバブの民話も紹介されていてとても愉快。バオバブは神さまがおつくりになる他の木がうらやましくて、背が高いように、あまくておいしい実がなるように、ドリアンのように、バナナのように……とお願いしたのだという。とうとう神さまは呆れ果て……。その先は読んでくださいね。その民話の結びが、「きょうの話は、これでおしまい。ほしけりゃもってきな、いらなきゃ海にすてとくれ」となる。「むかしむかし、そのむかし」と始まり、「とってんぱらりのぷー」などと終わる日本の昔話、世界の昔話のセオリーだ。

アフリカン・チューリップは大木になって咲く。

「アフリカに咲く花たちの素敵なところは、肥料や日当たり、水やりと至れり尽くせりで愛でられながら育ったわけではなく、厳しい自然環境のなかでサバイバルしながら生きているところです」と作者は書いている。

作者・島岡由美子さんは、「革命家」の夫と共に、タンザニア・ザンジバルに渡り、漁業・運送・貿易などアフリカの人びとの自立につながる事業や活動を続けている。『アフリカから、あなたにつたえたいこと』などでその(アフリカの花のようにすごい!)生き方が読める。

ところどころに、子どもたちの生活や、カラフルな装い、食事や水くみなどのエピソードがコラムで紹介されていて、それも興味深い。写真が満載だが、なかなか(治安的には)危険な場所もあって、それには必ず夫・強さんがエスコートしてくれたそうだ。学級文庫などにもおすすめだ。アフリカのもう一つの魅力に刺激を受ける子も出るかもしれない。