出会い

堀川理万子『海のアトリエ』

 出会いが、人をつくる。人との出会い、動物との出会い、物との出会い……。

「あなたはこれから、あなたのだいじな人にであうのよ。このことをずっとおぼえていたいって、そんな日が、きっとあなたをまってるわ」

という、おばあちゃんのことばが、深いメッセージとして心に残る、しずかで、ゆたかな絵本だ。

 「わたし」はおばあちゃんの部屋がすき。いごこちがいい。そこに女の子の絵が飾ってあった。その絵にまつわる話を、おばあちゃんから聞く。それは、おばちゃんの子どもの時の絵だった。学校に行けなくなって、家に閉じこもっていたら、お母さんの友だちの絵かきさんが自分の家に誘ってくれた。海辺のアトリエの家に一人暮らしの女の人。

 絵描きさんと暮らした1週間。何かをすることもせまられず、その人が毎日暮らしているように、いっしょに過ごした。ひたすら絵を描く様子を見ながらねこと過ごす。朝の浜辺を歩く。私にも、好きなように描かせてくれた。そして、私を描いてくれた。わたしも絵描きさんを描いた。

 別れる前の日には、パーティをした。そして、水着を着て海辺の岩の上にこしかけて海をながめた。

 たんたんと語られるなかで、今をかたちづくる大事な出会いの日々が、水彩で描かれる。絵本は世代を超える物語であることをしみじみ思う。

偕成社2021.5 1400円+ 杉並図書館の本