4月21日(火)晴れ 想像の翼をひろげて 

⑧友だちとして見る=描写力

     *

 「物語る力」の基礎になるのは、「物語」として見る(観る)力だと、②『いっぽんの鉛筆のむこうに』で提起しました。その基礎は、対象をしっかりと(冷静に、客観的に)見つめて描写し、さらに対象と自分とをつなぐ物語を紡ぐ力だと思う。作文教育ではよく、「ありのままに」「見たことを、見たとおりに書く」などと言ってきたが、これがあんがい難しいことは実践してきた者には反省するところだ。子どもの声を聴くと、「書くのがきらい(いやだ、苦手だ)」というのが多い。学生もそうだった。「めんどくさい」という言い方もあった。「話すのも好きじゃない」と言う。「グループで相談したりするのがいや」とも。おしゃべりは果てしないのに…。自分を伝えること、表現することが苦手、めんどう、嫌いだということになる。アニマシオンに取り組んできて、これを“楽しい活動”に変えられないだろうかと考えるようになった。

 書くことにも枠組み(ステップ・バイ・ステップ)があることを教える必要がある。「読解」の実践を見ると、指導者本人の自覚は別として、読み解く〈型〉を教えている。ある枠の中へ導いている。どんな「文章読本」を読んでも、分かりやすい本は型を教えている。踏まえていく道筋を学べば、次第に自分流の読みかた、書き方へ踏み出していくことができることになる。前述の論文で紹介した実践ですが(資料として残っているので)、その一部を紹介してみましょう。3年生で行ったものです。

*     ともだち紹介

―基本―

①     箇条書きを教える(3年生国語の指導項目です)。一文(ワンセンテンス)は一主語であること。センテンスは短く。「センテンス」という言葉を教えた。

②     まず全体的なことを伝える。

③     大きなことから小さなことへ、中心からまわりへ(周辺へ)。スケッチするように書く。

④     5センテンス程度でよいことをおさえる。長ければ良いのではない。

⑤     最後にエピソードを加え、感想で結ぶ。

—「じゃが友紹介」―

①     ジャガイモを児童数+α個用意する。(+α個であることが大事。つまり、子どもが自分が選んだという自覚。じゃんけんで負けしょうがなくてそれにしたのではない)

②     数人のグループで机を合わせる。その真ん中に新聞紙を広げ、児童数の倍程度のジャガイモをどさっと置く。

③     1個ずつ取って、自分のジャガイモの特徴をじっくり観察する。

④     それに名前(ニックネーム)を付けて、紹介文を書く。

⑤     できたら、グループの中で紹介しあう。代表を何人か選び、全員の前でジャガイモを持って発表する。

〈例〉

「  ジャガバタくん

                    たける

ぼくの友だちのジャガバタくんです。

りんごみたいで、かわがちょっとむけてるし、顔みたいです。

北海道で生まれて、東京にひっこししたのです。

根っこに友だちがいっぱいいました。

まだ、お母さんがわかりません。さがしてるまに、とられちゃった。

りんごみたいだし、顔みたいだからびっくり。            」

 *コツは名前を付けることです。「名づけ」は“我がもの”とする行為です。こうすると、親しみがわいて、エピソードも考えやすくなります。

 そうそう、このジャガイモはプレゼントとして持ち帰り、「その後の物語」を書いてきてもらいました。だいたいは家族の“ともだち”になったのでしたが…。

  2

—「あったことがなくても ともだち」

テキスト『ともだち』(谷川俊太郎・文、和田誠・絵、玉川大学出版部) 

①     『友だち』の読み聞かせをして、この本の趣旨を理解させる。

②     この本の中の見開き1枚を選ぶ。

③     書かれている文を導きにして、絵(写真の場合も)の中の友だちを紹介する。

〈例〉

「   私の友だちのショート・ケーキちゃん

                           ゆみこ

私の友だちのショート・ケーキちゃんです。

ショート・ケーキちゃんとは大親友です。

今、ケーキを作っています。

ショート・ケーキちゃんは、ばくだんで左ひじまでをなくしてしまいました。とてもかわいそうです。

ショート・ケーキちゃんのお父さん、ロング・ケーキさん、お母さんのチーズ・ケーキさんは死んでしまいました。

今は、私の家に住んでいます。

私は、ケーキちゃんの知らないことを教えてあげたいです。            」

 *これは公開授業で行いました。

 

—教室の仲間を「紹介」

 この取り組みは、退職の2003年度担任の3年生と進めたものです。私の退職することは、子どもにも保護者にも話してありました。3学期になると、全員組み合わせの表を作って、ほぼ毎日、二人組んで向き合い、おしゃべりしながら「友だち紹介」を書き、似顔絵を添えて交換していきました。最後には「岩辺先生紹介」をしてもらいました。

〈例〉

「    先生のだいじなネクタイ

                     かずき

先生のだいじなネクタイ。

先生のだいじなネクタイを持ってきている岩辺先生。

すきなかもくは、国語。

本では、『ラブ・ユー・フォー・エバー』がすき。

季節は、なつのはじめがすき。

すきなアニメは、アトム。

いちばんすきな時間は、本を読む時間。

いちばんすきな食べ物、サクラもち(おなじ!)         」

 *一年間いっしょに過ごしてきても、あんがいよく知っていないところがあることもわかりました。書きながらのおしゃべり(「何が好き?」など)が教室をとてもなごませていきました。

 用紙はA4程度。右半分に縦罫を引き、左は空けて似顔絵などを描きます。物にもまさに「モノ語り」があり、人にもそれぞれの物語があるのです。これは、歴史をはじめ様々な教科にも発展性のある方法です(擬人化に流れるのには、ブレーキが必要なのはいうまでもありません)。