5月29日(水)雨のち晴れ 孫の目から語る椋鳩十さん

 昨日は八王寺で司書・司書教諭研修会。小中で107校あるということで、広い会場。後ろの人は苦労しただろうなア。「楽しかったです!」と言ってもらえれば、最高のご褒美。

 大好きな椋鳩十さん。鹿児島のアニマシオンクラブ・種村エイ子先生がブログでいい本が出たと書かれていたので、さっそく取り寄せて読んだ。孫の久保田里花さんが、茜書房の「伝記を読もう」シリーズの一冊を書いている。これほどふさわしい書き手はいないだろう。

 椋鳩十さん。本名は久保田彦穂。長野県下伊那郡喬木村に生まれ、青年期までをここで育ったことが、人格をつくり、作品の骨格、個性をつくっていった。お父さんが野山を連れ歩いてくれたことが、後の作家活動に大きな支えとなっている。恩師と言える意図も多いのが椋さんの人柄だろう。小学生時代の市瀬厚先生と『(アルプスの少女)ハイジ』との出会い。中学時代の正木ひろし先生(英語)、佐々木八郎先生(国語)。そして文学に燃えて法政大学に学び、豊島与志雄、森田草平先生や友人たちとの文学談義や創作、同人誌など。

 姉の努力で鹿児島に教職を得て、その後の生涯の地を得る。そして、作家としても活躍を始める。山窩の民を描く作家として評価され、椋鳩十のペンネームを名乗る。戦争がはげしくなる中で動物指導文学に筆を進めるようになり、この分野での第一人者となる。戦後は鹿児島県立図書館長として読書運動をけん引していく。そして、亡くなるまでの精力的な取材と執筆活動を綴っている。

 私は、『モモちゃんとあかね』が一番好き。子どもたちとの思い出の作品は『マヤの一生』。初任校足立区立栗島小時代4年生たちに毎日読み聞かせした。あの頃はNHK教育でラジオ文学の読み聞かせがあり、これが2回にわたって放送された。子どもたちは涙を流して聞いた。アニメになった時も子どもたちと観に行った。いまは、椋さんの講演やエッセイ集が好き。ほっとする。 椋さんの提唱された「親子20分間読書運動」は、今日こそ見直され広められる必要があると思う。

 息子さんに『父 椋鳩十物語』(理論社1997)を書いてもらい、孫にさらに伝記として書いてもらえるなんて幸せなことだ。元気なうちに、長野の記念館と少年時代をすごした伊那の故郷を訪ねてみたいと思っている。

 久保田里花『椋鳩十 生きるすばらしさを動物物語に』(あかね書房2019.3、1,500円)