3月1日(金)曇り 117 ヒット賞3本目

=「世界人権宣言から学ぼう」

 これが、一番目にきたかったのですが…。

「C12規則の尊重」では、ほとんどが規則を守るということにとどまっているのですが、規則を裏打ちしている、「規則とは権利を守るためのものである」ということが抜け落ちています。その点で、ここにあげる教材はホームラン賞とも言えるものと思います。

 光村図書6学年。単元名〈大切な権利〉。教材名『世界人権宣言から学ぼう』。(編集委員会 編)。

*ここでは、アムネスティ・インターナショナル日本との協力で、谷川俊太郎さんが訳した『世界人権宣言』が掲載されています。全30条が並び、一部は文章が省略されていますが、趣旨は伝わるようになっています。そして、この意義について、編集委員会の文章が1ページ、書かれています。その初めのフレーズを紹介しておきます。

「世界人権宣言は、1948年にフランスのパリで開かれた国際連合総会で採択されました。20世紀に起こった二つの大戦で、世界中の多くの人々が深く傷つきました。そのような戦争を二度と起こさないためには、そして世界が平和であるためには、一人一人が大切にされる世界でなければなりません。それを言葉にしたのが『世界人権宣言』です。(以下略)」

問いかけ

・あなたのクラスの「クラス人権宣言」を作るために、世界人権宣言の条文を一つだけ使うとしたら、あなたは何条を使いたいと思いますか。また、それはなぜですか。

・「人には、自由に意見を言う権利がある。だから人の悪口を言ってもいいんだ。」という人がいたとします。その人に、世界人権宣言でいわれていることを使って反論しましょう。

・世界人権宣言の考え方を生かすために、あなたは、クラスの一員として、どんなことを大切に考えながら行動していきたいと思いますか。

*「世界人権宣言」の全文は、とても使いやすくネットにアップされているので、まずご覧ください。

 ここで、もう一点、光村図書6年の『道徳6 きみがいちばんひかるとき』は、上記「世界人権宣言」は第2単元で、第1単元は、〈1 未来に向かって〉。『まどさんからの手紙――こどもたちへ』が置かれていることです。

「これは、童謡「ぞうさん」で知られる詩人まど・みちおさんから、ふるさと、山口県の小学校のこどもたちに送られた手紙です。1994年5月――、まどさん84さいのときのことでした。」

 まどさんは、こどもたちに毎日をむだにしないで、元気いっぱいにやって、「じぶんのなりたいようなおとな、だいすきなおとなになる」ように、世界中の大人、地球、宇宙が願っていますと書いています。

「なぜならば、いませかいじゅうにたべものがなくて しにそうな人はかぞえきれないほどいます。

あっちに こっちに せんそうもたえません。

それどころではなく にんげんでない ほかのいきものたちは まいにちのように どんどん そのかずがへっていきつつあります。どうぶつも しょくぶつもです。

みんな いまのおとなのちからでは それらをなおしきれないのです。」

と、こどもたちへの期待を表明しています。(本になった全文が収録されています)

 この手紙に続くかたちで、「世界人権宣言」が置かれています。したがって、たんなる「宣言」文として学習するのではなく、まどさんの訴える「人類の危機」「地球の危機」「宇宙の危機」と救う、子どもへの期待と結びつけて議論していくことができます。また、これからの「道徳」の学習の課題や組み立てを子どもたちと相談していくこともできます。限られたスペースの中での努力に敬意を表したいと思います。

     *

 さて、ヒット賞は3本としました。これだけは、出版社名もあげましたので、手に取ってみてください。いよいよのこすところ、あと2回となりました。