12月7日(金)曇り 53「C12規則の尊重」③
規則は変えるためにある=『としょかんライオン』
図書館にライオンがやってきた。図書館員のマクビーさんはあわてて館長室に行って、伝える。
「はしってはいけません」と言いながら、メリーウェザー館長は、たずねる。
「で、そのライオンは としょかんのきまりをまもらないんですか?」
「いや、そういうわけでは……」というマクビーさんに、「それなら そのままにしておきなさい」と、館長は告げる。ルールを守れば、だれでも迎え入れられるのだと。
ライオンは図書館の中をゆっくり回り、おはなしの時間にはじっと聞いていました。それが終わると、ライオンは大きな声でほえました。メリーウェザーさんが来て、「しずかにできないなら、としょかんからでていってもらいます。それがきまりですか!」と言い渡されますが、小さな女の子が聞いてくれました。
「しずかにするって やくそくすれば、あしたもおはなしのじかんにきていいんでしょ?」
こうして、ライオンは毎日やってきてはメリーウェザーさんのお手伝いをしたり、子どもたちと過ごしたりして、図書館の人気者になりました。
ところがある日、メリーウェザーさんのお手伝いをしようとやってきたライオンの前で、メリーウェザーさんは高い所の本を取ろうとしてふみ台から落ちて動けなくなってしまいます。ライオンは、カウンターに行って急を告げようとしますが、言葉で伝えることができません。そこで、大きな声でほえる。マクビーさんは驚いて、「ライオンがきまりをまもってません!」と、館長に告げにいく。その間にライオンはすごすごと出ていく。マクビーさんはそこで館長の事故を知って医者を呼ぶ。
ライオンがいなくなった図書館はさびしくなる。マクビーさんはあちこち探すがみつからない。雨の日、探し回って戻ってきたマクビーさんは、図書館の前で雨に打たれているライオンを見つける。マクビーさんはこう話しかける。
「あのう、ごぞんじないかもしれませんが、としょかんのきまりがかわったんです。
おおごえでほえてはいけない。ただし、ちゃんとしたわけがあるときは べつ。つまりその、けがをしたともだちをたすけようとするときなど、ってことですけどね」
こうして、再びライオンは図書館に戻ってきて、みんなの人気者になった。
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ちょっと脇道ですが、2008年7月4日の「朝日新聞」は写真入りで、図書館にやってきたニホンカモシカのニュースを伝えている。富山県船橋村立図書館に現れた。今は自動ドア―だから、入れるわけだ。
もう一つは、鎌倉市の図書館が公式ツイッターで出した「つらい子は図書館へおいで」というメッセージだ。(2015年8月27日「東京新聞」夕刊)
この記事は、絵本に挟み込んである。
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さて、この絵本をどう読むか。図書館はいろいろな人がやってくる。求めているものはそれぞれだ。本を読みたい人だけではない。この空間でしばらく過ごしたいという人も少なくない。それを嫌う図書館もあるし、どうぞ…と迎える図書館もある。だから、きまりも様々だ。そのきまりも柔軟な対応が求められる。
『としょかんライオン』は、もう少し、広いテーマをふくんでいると思う。言語、文化、習慣の異なる人たちが集う場所だ。「広場」といってもいい。「図書館は、孤独な市民の最後の居場所」とは、パリの図書館でのアニマシオンの説明の印象深い言葉だ。それは、もちろん図書館だけではない。日本もそういう時代に入っている。「異文化理解」「多文化共生」、つまりは「国際理解」。
この絵本を、「どう読むか」、子どもたちを話しあってみたいものだ。大好きな一冊。何度も読んできた。
そうそう、絵本としては、すみずみまで心のこもった絵をじっくり味わいたい。まず、扉のページで、図書館に入ろうとするライオンの玄関階段の左右にある一対のライオン像。つんとして、貧しいお前なんかの来るところじゃないとすましている。解決して、物語を閉じるラストの見開きでは、そのライオン像がやさしく微笑んでいる!
ミシェル・ヌードセンさく、ケビン・ホークスえ、福本友美子やく(岩崎書店 2007.4)

