「賢治さん、真実の恋」
5月22日(火)晴れ ちょっと推理仕立ての『宮澤賢治 愛のうた』
先日紹介した『宮澤賢治 愛のうた』(澤口たまみ、夕書房 1800円)。読了しました。おもしろかった、というか、ちょっと推理仕立てで、“聖人・宮沢賢治”像を“人間・賢治さん”に熱き血潮を通わせた。
恋人は大畠ヤスさん、小学校教師。賢治と藤原嘉藤治(女学校の音楽教師)とが開いたレコード鑑賞会メンバー。蕎麦屋の看板娘という美人と紹介されている。二人の家族及び周辺には知れ渡っていた。二人は密かに何度も逢っていた。それが恋の苦しみとして「春と修羅」等に歌われていたことを、澤口さんは丁寧に読み解いていく。それは推理小説を読んでいくようなおもしろさだ。「深読み」か「邪推」か…。私は納得!
賢治の残した文章、書簡等はすべては明らかにはされていない、操作されてきたというのは言われてきたことだ。
「ヤスと恋愛していたと思われる大正11(1922)年から13(1924)年にかぎって、残されているのは大正11年の賀状、ただ1枚きりなのです。しかしこのころヤスのふところには、いつもラブレターが入っていたと回想するヤスの知人もいます。賢治の書簡は、何らかの理由で発表されなかったと考えたほうが自然です。のちに賢治の年譜を作った人々が、女性や恋愛に縁のなかった「聖人」たる宮沢賢治像を、意図的に作りあげようとしたこととも、無縁ではないでしょう」
と、澤口さんは鋭く指摘している。ちょっと残念な方も是非読んでください。
