9月18日(日)曇りのち雨 お話を重ねてみよう=『うさぎマンション』

 

 再び重い暗い空となった。そこに、28才の若い美術作家による楽しい絵本が届いた。5階建て、24室のうさぎマンションに、あたらしい家族がひっこしてくる。ここには、さまざまなうさぎが暮らしている。大工うさぎ、作曲家うさぎ、恐竜と暮らしているウサギ、魔女うさぎ……。それぞれの暮らしを考えるだけでも楽しい。

 この物語は引っ越してきたうさぎファミリーの視点で綴られているが、魔女うさぎに視点を置けば、また新しい物語が生まれる。24通りの物語が輻輳してうさぎマンションという世界(社会)の物語が織り上げられていく。

 あるいは、「くまマンション」とか、「ことりマンション」を設定してもいい。ファンタジーの創作入門だ。

 そして、屋上で歓迎パーティが開かれる。にぎやかで、あたたかなうさぎマンション。いいなあ。のはなはるか『うさぎマンション』(くもん出版2016.9、1,400円)