クラウドファンディングが広まるために必要なこと | ぶっちゃけ税理士・岩松正記のブログ

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仙台市の税理士、岩松正記が書く、起業・ビジネスネタを中心に、ときどき読感やセミナー感想など。
山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無一文を経験後に開業。
モットーは「一蓮托生」

こんにちは。仙台の税理士、岩松正記です。

グラミン銀行やkibaに代表されるマイクロファイナンスが、
アメリカではKickstarter.comのように起業支援の形に発展しています。

貧困層を救うためのビジネスが本格ビジネスに変身するところが
まさにアメリカ的だと見ていたのですが、それが今度はいよいよ
ネット上で簡単にできるようになりそうとのこと。
さすが、起業の国アメリカ、といったところでしょうか。

あなたも出版社になれる、直接ネット上で株式公開できる「クラウドファンディング」法が米国議会を通過する見通し
http://hon.jp/news/1.0/0/3174/


わが国においては、多数から資金を集めるためには、
まずは出資法という大きな壁を乗り越えなければなりません。

さらには、出資または投資と寄付の線引きについて、
お金を出す方も集める方もあいまいな考えの方が多いような気がします。

結局は、弱者保護ということで、お金を出す方を守る法整備が
しっかりしているのですからいいことなのですけど、
それが逆に、お金を集める方にとってマイナスになっている
ということなのですね。


では、起業支援が叫ばれる中、日本でクラウドファンディングが
もっと広まる方法はないのでしょうか。


もし税制をいじることが可能だったら、
私なら、寄付税制の拡大ではなく、雑損控除の適用拡大を提案します。

どういうことかというと、お金を出した時に税制上のメリットを与える
のではなく、そのお金がダメになった時にメリットをもたせる。

つまり、損した時に、確定申告で税金が戻ってくるというやり方です。


現在の雑損控除は、自然災害や盗難は適用できるのですが、
オレオレ詐欺などの詐欺は適用が受けられません。

別にクラウドファンディングでお金を集める人たちを詐欺呼ばわりする
わけではありませんが、結局のところ、信用の有無がお金が集まるか
どうかを決めるのですから、投資する方はいわばバクチみたいなところが
あるわけです。

だから、お金を出した、つまり投資した段階では何もせず、
結果が出た時に課税関係を発生させる。

これなら、お金を出す方も出しやすくなるのではないでしょうか。


本当は寄付税制の拡大が一番手っ取り早いのですが、多分財務省が
おいそれとウンとは言わないでしょうから、こっちの方が実現しやすいと
思うのですね。どうでしょう???



ところで、元記事でクラウドファンディングが「緊急雇用対策の一貫」
でなされたとありますが、ぶっちゃけ、起業促進は雇用の拡大には貢献
しません。

詳細は「起業というの幻想」を読んでいただきたいのですが、
すでにアメリカでは結論が出ていることなのですけどね。

起業促進は、雇用の拡大ではなく、「ビジネスの個人化」とか
「ビジネスのひとり化」を促進させるに過ぎません。

ただし、その中から、間違いなくビッグビジネスが誕生します。

起業率とGDPは正の相関関係がありますから、
起業促進は景気にはいい効果があるのは間違いありません。


出資法や寄付税制の改正が難しいのであれば、
是非とも雑損控除の適用拡大を。

こんな提案はいかがでしょうか?




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