税収不足なのだから、富裕層から取るしか無い。
ロバート・ライシュの「余震(アフターショック)」によれば、
「消費に回されるカネはどれも乗数効果をもっている」のだから、
富裕層から税金を取り、それをもっとも数の多い中間層の消費にまわす
工夫をしなければ経済は良くならない。
しかしそれは決して「金持ちに課税してそれを貧困層に配るという
ロビンフッド型の再分配を提案しているのではない」
とのこと。
ライシュ氏は
「中間層のための所得補助や税控除で彼らがもっと消費できるようにし、
それによって経済活動をフル稼働の状態へ導き、
成長を維持することができると言っているのである。」
と書いています。
いずれにしても、富裕層にとっては受難の時代に入ってきたようです。
今後、節税に対する関心が高まることは間違いありません。
となると、どう考えても、これからは「税理士の時代」です。
税理士に対し、的確なアドバイスが強く求められるようになるのは
間違いありません。
我々はこれをビジネスチャンスだなどと愚かなことを叫ぶのではなく、
この情勢を真摯に受け止め、依頼主のために活動することを
常に心に留め置かなければならないと思います。
増税は既定路線とはいえ、「取れるところから取る」という
税金の鉄則はゆるぎません。
とはいえ、他人が苦しむ姿を見て喜ぶのだけは避けたいものです。
「余震(アフターショック)」には、こんな逸話が紹介されています。
-----
ロシアの昔話に貧乏な農夫と金持ちで顔が広い隣人が出てくる話がある。
ある時。裕福な隣人は、小作人である農夫にはとても払えないような大金をはたいて、
牛を一頭手に入れた。農夫は助けをもとめようと神様に祈った。
神様から何をしてほしいか聞かれた農夫曰く、
「牛を殺して下さい」。
-----
他人を羨むのではなく、あくまでも自分自身の手で
活路を見出して行かなければならない。
そのためのお手伝いをすることを、税理士は求められているのです。