【今日の一枚】前菜の一皿
本日は、 昨年末に食べログで見かけ注目していたフレンチのお店「 L'Octave Hayato KOBAYASHI」のご紹介です。
シェフは、小林隼人氏。
西麻布のレフェルベソンスのスーシェフから、白金のオレキスで総料理長を務めたのち独立。
店名であるL'Octave(ロクターブ)は、楽器を演奏されるほど音楽が大好きなシェフが"オクターブ"からとったそうです。
後述しますが、お料理にも音楽が大好きであることがうかがえる内容でした。
年明け早々、予約の電話を入れたところ、「月末でしたらお席が用意できます」とのこと。。。
まだお店がオープンして間もないというのに、すでに人気店となっているようです。
待ち遠しい限りではありましたが、予約をしまして、当日、ランチタイムに訪問してきました。
場所は北参道の住宅街。
この地を選んだ理由は、もともとカフェが入っていたテナントがタイミングよく空いたのでということでした。
北参道駅から向かいましたが、分かりやすい目印もありませんので、地図があった方が安心だと思います。
お店はコンクリート張りのデザイン性も感じられるビルの1Fです。
店内は、白い壁で明るく、木造の床や席などカジュアルさもある落ち着いた雰囲気。
こぢんまりとした広さですが、現在、お料理をシェフお一人で対応されているので、これ以上のキャパは難しいだろうなぁという印象です。
カウンター席へ案内され、始めは二人並んで座っていたのですが、シェフのお心遣いで少しでも話がしやすいようにと、L字の角を挟むような形で席に着かせてもらいました。
それと、壁側のカウンター席はキッチン内の様子がよく見えるので、お料理を作る過程が見える点では、ある意味、特等席かもしれません。
お料理の紹介の前に、お料理名について触れておきます。
食後にお料理名についての話を振ったところ、「まだないんですが決めたいと思っていたところです」というところから、なんと、その場で考え始めるといった展開に。
後日、完成したリストをいただきました。
使用の許可はいただいておりますが、これが公式に採用されるかは分かりませんので、その点はご留意を。
それでは、早速、シャンパンで乾杯して楽しい時間のはじまりです。
ランチのコースは一つのみ。
~ Set List ~ L'Octave
m-1 "Petit Boites de Pandore" ~パンドラの小さい缶詰~
シェフより:
”開けてのお楽しみ。”
遊び心のあるお皿です。
さらに、お料理のサーブと共に、「スーパーで買ってきた缶詰ではございません。」と一言(笑
しょっぱなから、只者ではない何かを感じとりました(笑
下に米ナスのソテーと信州サーモンのタルタル、その上にクレームエピスを軽くスモークし、北海道のウニとハマグリのソースをのせたもの。
小さい器ながらも手の込んだ仕上げ、多くの味が口の中を飛び交う、複雑で刺激的な感覚、まさにパンドラの名がお似合いの一品です。
m-2 "Octave" ~オクターヴ奏法~
シェフより:
”オクターヴ奏法とは、同じ音の1オクターヴ上と下を同時に押さえて音の厚みを増す奏法。
メインのヤリイカに対して、カブのピュレとクリュの2つで合わせ味の厚みを増しているところからきています。イメージとしては、その五線譜に、グレープフルーツ、ブラックオリーブ、オクサリス、アマランサスがリズミカルに載っているという盛り付けです。”
コントラストが印象的な盛り付けから、爽やかな柚子の香りがやってきます。
口に運べば、カブとヤリイカの歯切れよい食感とグレープフルーツの酸味、五感を刺激する絶品の一皿でした。
m-3 "Light My Fire" ~ハートに火をつけて~
シェフより:
”ご存知、The Doorsの世界一飽きないメロディーとも云われている名曲。何度でも食べたくなる様なほっくりする様な料理を目指して引用しました。”
焼き石にオイルをかけ、点火させるといった演出。
そして、「爆発するのでお気をつけください。」と一言(笑
昆布森の牡蠣を使ったグラタン仕立てで、中にはボロネギと銀杏のソテーが入っています。
演出とはうらはらに、ほっくりとやさしさのあるお味です。
ここで、焼きたてのパンが運ばれてきました。
群馬県にあるスタイルブレッドというお店の天然酵母パン。
すごく熱々ですぐには食べれないですが、香ばしくもっちりとして美味しいです。
紙袋に見立てた器は花瓶らしいのですが、こちらでは可愛らしい器として使用されています。
m-4 "Shin-Kai" ~森と海と~
シェフより:
”こちらはストレートに、大地の食材と海の食材の出会いをオレンジの香りでマリアージュさせた1皿です。”
北海道の真鱈の白子を独自の調理法で表面だけカリッと仕上げたものと、信州の5種のキノコをオレンジ風味で仕上げたもの。
白子の濃厚さを残しながらもサクっとした食感、このような味わい方は初めてかもしれません。
キノコも旨みのある美味しいものでした。
m-5 "Caractere" ~キャラクテール ア・ナ・ゴ~
シェフより:
”こちらもストレートな一皿です。Congreの文字に見立てた遊び心を入れた盛り付けにしています。きちんと食べても意味のある食材とスパイスの配置にしています。”
Congreは、フランス語で穴子という意味で、赤ワインソースで書かれた”C”の文字は、鰻屋さんの”う”の文字からインスピレーションしたものこと。
半分は、ジャガイモのピューレと赤ワインソースでいただき、残りは、C以降の文字を書いている10種類以上のミックススパイスでいただきます。
ふっくらと焼き上げられた穴子と、ソースもスパイスも相性よくいただけました。
焼き目の焦げの苦味もよいアクセントに感じます。
m-6 "Harmonics" ~倍音~
シェフより:
”基本的に私はソースではなくジュでお肉料理を仕上げます。召し上がっていただいた時に横ではなく縦に広がっていくイメージです。”
蝦夷鹿のローストは、信州のハックルベリーのソースとカボチャのピューレ、甘長ししとうとクレソンを添えたもの。
お肉は、癖もなく柔らかくてしっとりとした舌触り、鹿肉であることを忘れてしまいそうな上質で素晴らしい仕上がりでした。
m-7 "Chocolate Catastrophe" ~ショコラ カタストロフ
シェフより:
”こちらは最後、チョコレートの薄板を退廃的に盛り付けました。”
焼きたてのフォンダンショコラに立てかけるように置かれた薄板のチョコレートが、熱によって徐々に溶け崩れていきます。
その横には、カシスのシャーベットとブラックベリーのソース。
高級感も見てとれる盛り付けと演出、お味も負けないほどの上品なものでした。
m-8 "Arbre de Bonbons" ~口福の実のなる木~
シェフより:
”シンプルではありますが、最後まで喜んで頂ける様なプレゼンテーションにしています。”
葡萄のパート・オ・フリュイ、オールスパイスのサブレ、生チョコレート。
こちらもすべて手作りとのこと。
本当に最後まで楽しませていただきました。
食後に紅茶をいただきながら、シェフとの会話が弾みます。
それから、何か作ってらっしゃるなぁと思いきや、おまけのデザートが出てきました。
オレンジのフレッシュさがとてもよく、おまけを通り越しているクオリティでした。
ユーモアで多才なセンスをお持ちの小林シェフのお店。
これからもっと突き抜けていくお店だと思いますし、新たな演出も楽しみです。
すっかり魅力にとりつかれ、他の料理もいただいてみたくなり、ディナーの予約をしてお店を後に。
ご馳走様でした。
と、ここでいつも終わるところですが、お店の外で不意に呼び止められ、駆け寄った先にある”あるもの”を指差すシェフ。
見るとそこには、、、この日一番の衝撃だったかもしれません。
やっぱり、このシェフ、只者ではない(笑
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