バレエ団への入団オーディションの時期ですね
プロを目指すバレエ少女たちは何年も前から、自分が入りたいバレエ団のオーディションに向け、不安と希望の入り混じった日々を過ごしているわけです。
私は8歳から 東京バレエ団付属 東京バレエ学校でバレエを習いはじめました
その時もオーディションがありました。
スキップをしたり、バーに脚を乗せたりしたのを覚えています。
オーディションを受けていたみんなは、既にバレエを習っている様子で、幼いながらも、ダメだったかな・・・と思ったのを覚えています。
バレエ学校に入学を許可され、それから18歳まで10年間学びました。
それはそれは、強烈なるスパルタ教育でした
お友達の発表会を観たとか、バレエ漫画に憧れた訳ではなかったので、東京バレエ団の舞台を観るたびに、「舞台に立つのは大人になってから」と勝手に思っていました。
だから私にとって、舞台に立つということは、東京バレエ団に入ることそのものでした。
レッスンでは、ダメな点ばかりを挙げ連ねられ、毎回怒鳴られ続けながらも、「自分はプロになれる」と信じて疑いませんでした。
理由は分かりません･･･。
厳しい先生ばかりでしたが
唯一、楽しいレッスンをしてくださる男の先生が大好きでした
毎回、新幹線に乗って京都から来て下さっていました。
「イワキ、は呼びにくいな・・・名前は？それじゃ“ユキ”だ」
私の人生で私を「ユキ」と呼んだのはこの先生だけ
音楽に合わせることをとても大切になさった先生で、ピアニストさんがあまり良くないと「アンタもう弾かないで！」とご自分で歌いだすのです
その歌は、それはそれはリズミカルで、ちょっとかすれたお声でしたが、先生の歌で踊るのが大好きでした。
だから私は、レッスンピアニストさんに対してわがままになってしまったのかな(笑)
先生はバレエ団の教師もされていたので、新幹線での行き来は辛くなってきたとおっしゃり、ある日、バレエ学校の先生をお辞めになられました。。。
みんなで、泣きました。
みんなが、先生を大好きでした
レッスンの頻度は
小学生の間は週に2回。
中学～高校1年生までは週に3回。
高校2年生からの2年間は、週に5回、レッスンをしていました。
本気でプロになろうと決めたのは小学6年生の時でした。
小学校は、東京学芸大学付属世田谷小学校に通っていましたが、そのまま中学に上がるとすぐに高校受験の猛勉強をしなければならないと聞き、高校受験でバレエを休みたくないからと、中高一貫教育の香蘭女学校に入りました。
香蘭女学校は、のんびりとした本当に良い学校で、品のある優しい先生方に見守られながら、のびのびとした学生生活を楽しみました。
留学したり、コンクールに出ることもなかったので、体育祭・修学旅行などの学校行事はすべて普通に参加しました。
友人たちは「幸江は大学へは行かず、プロのバレリーナを目指すのだ」と一目おいて応援してくれて、勉強する時間がない私に「ここだけ覚えておいでね」と、テスト前は自分のノートのコピーを渡してくれました。
私は言われるままに丸暗記！
勉強しないのに、成績が上がったことがあります(笑)
オーディションはもちろん、不安でした。
でも、普段レッスンしているバレエ団のスタジオということもあり（ホームですよね）、思いっきり踊れました
同期には、現芸術監督補の高岸直樹くん他数名と、女性は私ともう1人だけ。
モーリス・ベジャールさんの『THE KABUKI』 世界初演の１９８６年入団となりました。
オーディションを受けるとき、大きな大きな不安はあったけど
同時に、自信もあったように記憶しています・・・。
バレエの先生は全く褒めてくれなかったし
スタジオを追い出されたり、ビンタされたりしたけど
気持ちが揺らいだことは無かったな。。。
「入れなかったらどうしよう」とは思わなかった。
入団して憧れの団員の先輩方と一緒に舞台に立つことしか、考えなかった。
自分が生きるのはコレと、決めてかかっていました。
あきらめなければ夢は叶うとか、
思い続ければ手に入るとか、色々言葉はあるけれど
ゴールに強烈なる臨場感がある時のみ、夢は叶うのではないかしら。
バレエ団に入るのが目的なのではなく
ダンサーになって、何がしたいのか･･･
ゴールが入団の先にあるともっと臨場感は強くなると思います。
バレエダンサーは、良い仕事です。
（“仕事”というと違和感がありますが）
体はもちろんのこと
心も磨いて
想いのあるバレエ団に向かって
生きて欲しいと思います
