ホワイトアウト | 岩上安身 オフィシャルブログ powered by Ameba

ホワイトアウト

雪に酔った。



「雪酔い」なんて言葉があるんだろうか、と思ったら、本当にあるらしい。知らなかった。 



昨日から、苗場に来ている。



人生で三日目のスキー。



二年前に、半日だけトライしたことがあるが、もうすっかり忘れていて、ブーツのはき方も、ストックの持ち方も、すべて1からやり直し。



それでも、昨日と今日の二日間で、リフトに乗り、ボーゲンでノロノロ滑り降りてくるところまではこぎつけたのだけれど……。 



今日の午後からは、猛烈な吹雪。こんな吹雪は生まれて初めての経験である。



何しろ、あたり一面、何も見えない。すぐそばにいるはずの人も、大きな黒々とした木々も、雪にかき消され、視界から消えてしまった。



ただ、ただ、白一色の世界。本物のホワイトアウトだ。 



地元のベテランスキーヤーは、「ミルク壺の中にいるみたい」と表現していた。いいえて妙。



白一色の世界と言うと、なんだかロマンティックに聞こえるかもしれない。ま、僕自身も、最初はちょっとわくわくしていたのだが、すぐに気分が悪くなってきた。



どうやら、視界がさえぎられると、平衡感覚がおかしくなるらしい。斜面に立っているのに、視覚からの情報では、上下も、前後左右も、傾斜も分からない状態になる。体感と、視覚情報のギャップが、酔いをもたらすらしい。  



ホワイトアウトという言葉は、映画のタイトルにもなったくらいで、アタマではわかったような気になっていたけれど、実際に体験してみると大違い。



雪山で遭難する時には、こんな酔いにまで苦しめられるのか………。



ほんのちょっぴりだけど、自然の猛威と、人間の身体機能の頼りなさを垣間見た気がした。