文学座公演

「明治の棺」
作 宮本研
演出 高瀬久男

@あうるすぽっと


{DDF1110A-51F5-4AFD-BCDF-BBC468A9FBC9:01}

たぶん初日あいて二日目ぐらいに行きました。


社会主義、キリスト教、信仰とは、正義とは…
物語の登場人物は全員が戦い続けていたなぁ。

当時の人たちに。
いまここで熱演している俳優たちに脱帽。


芝居は…言葉だったなぁと。
相手の心を動かすのも、武器になるのも盾になるのも言葉という手段。
人物を通して出て来る言葉たちの起こす現象。
「現象」が折り重なって芝居になっていくというのはとても質がよく感じられて。


共感や感動を煽るわけではけして無く、熱い明治の血を肌で感じさせてくれた。



そして不思議な体験をしたのは、話が進むにつれて、特に二幕後半など、それまでと違うフィルターを通して芝居を見ている感覚になる。


すごく良かったのだけど…
高瀬演出は、あの空気の作り方は、高瀬さん本人でないと作れないのだと正直思った。
俳優の感情と言葉と身体をつなげるアダプタ選びは、やはり高瀬さんでないと。


これから先、ナシャクラサのような芝居に出会うことはあるんだろうか。
無いかもしれないのか。


人間はつらい記憶はなくなっていくというのだけど、私も正直言うと当時の記憶がとても少ないです。

高瀬さんの演出はすごく苦しくて苦しくて20才で初めて白髪が生えてきてビビッたのを覚えてます。

でも、あの経験がなければ、いまの私ですら存在できていません。



帰ってパンフコメントを読むと、❝「明治の棺」は今の私たちを射抜く。その矢から逃れることはできない。私は心の中に真撃に答える魂を宿そうと思う。たとえ命尽きても。❞なんて書いてある。



高瀬さんと同じ時代で演劇をやれたことは私にとってとても大きな財産です。



心からご冥福をお祈りします。





管野里咲