【 突然の電話から始まった中国旅行 (4/6) 】
■①-2000-07

映画「ラストエンペラー」で舞台になった紫禁城(故宮)では、貴重な文化財が見られると期待をしていた。
しかし、ほとんどの貴重な物は、蒋介石が台湾に持ち去ってしまったようだ。
天安門広場も、ただのだだっ広い広場でなにもない。寒風に耐えながらただ歩くだけだった。
何処も世界的に有名な、観光名所なのだが、とにかく寒いという印象だけが残った。
それでも、みんなは歩きながら、変な物を見つけては写真を撮ったり、道端の物売りと民芸品の値段の交渉をしたりと、適当に楽しんでいる様だった。
しかし、それも初めだけで、騒いでいた連中も、日が経つにつれ、徐々に口数が減ってしだいに観光地も歩くだけになっていた。
後半は、連日の疲労と寝不足のせいで、険しい表情の彼らは、とりあえず、黙々と日程を消化することに専念していた。
しかし、ガイドだけは拡声器を片手に、観光案内どころか人数集めで精一杯である。
疲労と寝不足で、ふらふらになりながらも一同バスに乗り込む。
眠っているうちに、バスは目的地に着いたらしく、ガイドの声で目が覚めた。
のろのろと暖房の効いたバスから降りると、瞬時に髪の毛が凍りつくような寒さに襲われた。
目の前には、山の稜線を延々と繋ぐ巨大な蛇のような万里の長城が、圧倒的な重量感をもって横たわっていた。
宇宙から見える唯一の人工建造物といわれる巨大な長城の迫力と寒気に「こりゃ、すごい」と正直眠気も吹っ飛んだ。
■①-2000-08

次回につづく
