【ディスる】
英語の尊敬や重視などの意味を持つリスペクト(respect)に「不」の意味を示す接頭辞のディス(dis-)がついたディスリスペクト(disrespect)が語源で、蔑む、軽んじるなどの意味を持つ言葉が日本語的に動詞化したもので、2000年(平成12年)頃からネット上のスラング(俗語)として流行り始めた、らしい。
もはや圧倒的に一般語になってしまっているが、敢えて調べてみた。
という訳で、ここまである特定の地域をこき下ろした、いわゆるティスったものも、まーないと思う。
これほど話題になっているのだから、ご存じの方も多いとは思う。
多いとは思うが、この際だからはっきりと正直に言う。
こんなにディスっちゃっていいんだろうか。
え? 怒らないの? 平気なの? って感じ。
そして、さらに云う。
こんなのを映画にしちゃって、いいんだろうか、と。
未読の方に念のために説明しておくとすると、原作がふざけているのだ。
いや、ふざけまくっているのだ。
埼玉県民(一部、茨城県人)をディスりまくっているから?
確かに!
でも、いや違う。
だってマンガにして三話分、しかも未完なのだ。
おいおい、である。
そもそもが新潟出身の作者がデビューして七年経った頃、仕事の効率化を図るために関東に移住を決意、担当編集者に住む場所の斡旋を依頼して住むことになったのが埼玉県所沢市。
そこで埼玉をネタにしたら面白いマンガが描けるのではと思い立ち見事に生み出されたまでは良かったものの、三話目を執筆した時点で作者が横浜に移住してしまったのだという。
埼玉県民であったがためにがために描けていたものが神奈川県民になってしまったのでは、冗談ではなく洒落にならなくなってしまったといういわく付きの原作というわけだ(まぁ、それも表向きの理由らしいが・・・・・・)。
しかも初出が1982年(昭和57年)の『花とゆめ』(白泉社)冬の別冊で、その後1983年(昭和58年)春の別冊と夏の別冊の3回分ということなのだ。
それをなんかの間違いか32年も経った2015年に本にしてしまうとは、さらに映画にしてしまうとは!
である。
でもそれは、理由があるのだと思う。
人は住んでいる場所で差別されるべきではない、住む場所で区別するほど滑稽なことはない、という隠された(作者はまったく意図していなかったらしい)強いメッセージが伝わって来るからではないだろうか。
どこに住んでいようと、人ひとりの価値はまったく同じ。
そんな至極当然なことを強く教えてくれるからなのではないか、と思うのだ。
https://shimirubon.jp/reviews/169522
緑の字の部分は、6月24日にブックレヴューサイト『シミルボン』に投稿したものです。
この作品は話題になった頃から、なんとなく知っていましたが、そこまででした。
「ぶっ飛び過ぎた感があるが一部のマニアに受けている」そんな感じで語られる程度のことだと思っていたのです、映画になるまでは。
映画になるほどの何が面白いのか? と凄く興味が湧きました。
しかも、埼玉県をディスっているだけ(失礼)だけなのかと思ったら、GAKUTOや二階堂ふみのいでたちが尋常ではないではないですか。
これは原作を読まずにはいられないのではないか、と思い手に取った次第です。
しかし、たった三話だけで、しかも未完のマンガの破壊力は想像を絶していました。
その驚きをレヴューに込めたつもりです。