映画「森崎書店の日々」をブログにUPして早速Amazonで原作本を購入し、読んだ。
沢山の近代文学作品や文豪達が描かれており、無性に近代文学を読みあさりたくなった。
まず読んだのが、「武者小路実篤の友情」
王道です。
いわゆる、友情を取るか?愛情をとるか?の普遍的なテーマの恋愛物語。
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主人公野島は、杉子という女性を好きになり(コイツはどうやらモテないタイプの男らしい)恋に焦がれ、寝ても覚めても杉子でいっぱいだ。
親友の大宮に会うたびに杉子のことをグダグダと相談する(こういう女性はよくいるが、男性には珍しい⁇)
実はもう既に、大宮も杉子のことが好きなのだが、あまりにも野島が杉子に夢中なゆえ、大宮はその思いを隠したままである。
段々耐えきれなくなってきた大宮は、杉子への思いを断ち切る為、パリに旅立つ。
旅立ちの日、駅に見送りにきた杉子の様子に異変を感じた野島は、杉子が大宮に好意を持っていることを悟る。
後日、杉子が大宮を追ってパリに渡仏することを知り、杉子が大宮へ好意を持っていることを確信しショックを受ける。
そんな或る日、大宮から手紙が届いた。
その手紙には、大宮と杉子の思いを綴った小説が載った同人誌が同封されていた。
その小説は、二人の書簡をそのまま小説にしたものだった。
その内容は野島にとって、かなり残酷なものだった。
杉子は、野島が自分に寄せる好意が迷惑でしかないとか、野島とは一時間もそばに居たくはないとか、なかなか残酷な天使ぶりだ。
一方の大宮は、友情と愛情で葛藤している様子を始めの方こそ書いているがら、最後には愛情をとると断言している。
その小説を読み、野島は落ち込むが、この辛さをバネに仕事に精進すると書かれこの物語は終わる。
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何か、最後の終わり方が可愛い。
最近の物語なら、二人に対しての復讐とか、ドロドロに展開して行きそうだけど、
仕事をガンバるなんて、なんだか単純で実篤が一気に好きになった。
特に私が印象に残ったのは、杉子が野島に対して《野島のそばには一時間も居たくない》
という一節。
いわゆる、「この男、生理的にムリ」ということで…
こういう場合、もう出会った日から勝負はついていて、どんなに後に、野島の人格が素晴らしいと思っても、大富豪だと分かっても、残念ながら女性の気持ちはそう変わらない。
「杉子の気持ち分かるわ~」とつい笑ってしまった。
凄いのは、こんな女性の気持ちを実篤があの時代に切々と描写しているところだ。
この小説は、多分、私小説に近いと私は思う
以前みたテレビ番組で、林先生が、文豪にはモテるタイプとモテないタイプがいて、
モテるタイプは太宰とか、芥川、川端…とかで、モテないタイプが実篤だと言っていた。
だとしたら、この小説、自虐小説とも言えるのでしょうか?
私はあの、実篤先生の無骨な感じのお顔に親しみを持ってしまいました。
ぐみ♡