ビジュアル系は世界中でコアなファンがいて、日本のビジュアル系アーティストも世界ツアーを行ったりするバンドが後を絶ちません。
ビジュアル系と言えば、やはり「ビジュアル系」という言葉を生み出したとされるX Japanが先ず始めに思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。
X Japanは、1992年に米タイム・ワーナーと世界進出のために契約をしますが、その後、海外市場に向けた作品を発信することなく1997年に解散しています。
2007年には再結成、2008年には「I.V.」のiTunes Storeなどにおける全世界23ヶ国同時発売、2009年にはアジア2010-11年には、北米やヨーロッパを含むワールドツアーを成功させ、2014年には米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで講演をおこなうなど世界で活躍しています。
その間、X Japanよりも下の世代のビジュアル系アーティストが続々と世界進出していきます。
その代表格がDIR EN GREYでしょう。
1999年にメジャーデビューして以来、2002年にアルバム「鬼葬」を発表し、アジアツアーを行い、初の海外進出。2005年のアルバム「Withering to death.」は欧州のチャートにランクインし、この頃から海外のロックフェスにも積極的に出演するようになります。また、2006年のKoЯn主宰の北米ツアー「THE FAMILY VALUES TOUR」に参加したことで世界のメタルリスナーに日本のメタルバンドとして認知されることとなります。
その後もthe Gazette、MUCC、MIYAVIなど複数のビジュアル系アーティストが世界ツアーを行うようになりました。
海外で活躍されているとされているビジュアル系バンドでも海外ではキャパが数百人の中規模のライブハウスなどで講演を行う事が少なくないので、メインストリームとは言えないですが、現地のビジュアル系ファン、オルタナティブロックファン、日本の音楽ファンなどの間で根強い人気があります。
筆者は海外在住歴が長いのですが、ビジュアル系バンドのライブに行くとけっこう毎回同じ顔ぶれに遭遇します。特定のバンドのファンももちろんいますが、海外のファンは「ビジュアル系」とか「JRock」とか大きなカテゴリが全体的に好きなファンが多いと感じます。なので、DIR EN GREYとOne ok rockとBABY METALのライブに同じ層の人達が毎回足を運んでいるようなイメージです。日本の音楽を聴いて、アニメを見てるような人達が最近の客層としては多いように思います。
ハードロック、パンク、プログレ、ニューウェイブ、ゴシックなど欧米の音楽・文化の影響を受けて生まれたといわれる日本のビジュアル系が日本で独自に成長を遂げ、今度は逆に欧米に進出し、ファンを獲得しているという、かつて日本の製造業を中心とした産業がたどった道を今ビジュアル系がたどっているようにも見えます。
例えば、トヨタは米自動車フォードやGMを目指して開発を行い、独自に改善を行い、安価で高品質の自動車を製造し、今や世界に輸出するグローバル企業となりました。自動車、エレクトロニクスに関しては日本企業が世界のメインストリームで通用する(或いは、過去に通用した)と言えるでしょう。
しかし、コンテンツ(音楽や映像)産業などは人種や文化の壁もあり、メインストリームになるというのは非常に難しいです。欧米でアジア人のアーティストが局所的にチャートに登場するといったことは稀にありますが、メインストリームとして売れ続けているというような事例は今までないと思います。
もちろん、グローバルでのメインストリームになれればそれに越したことはありませんが、昔は強かった日本のエレクトロニクスも今や世界でのプレゼンスは落ちてきています。経営戦略として、ニッチな分野でトップになる「ニッチトップ」、「グローバルニッチ」といった戦略がこれからの日本には適しているのではとささやかれてきましたが、その通りかもしれません。
これからの日本はビジュアル系をお手本に、ニッチな分野で世界で戦っていくのです

