カンファレンスルームには、

 

もう主治医、担当医、 妻、娘がスタンバイしていました。

 

 

 

奥様は小柄で細身の上品な方でした。

娘は私と同学年(アラフォー)くらいの普通の女性。

 

 

そしてセクハラ患者本人をカンファレンスルームに連れ、

いよいよ決戦の時です。

カンファレンスルーム内の構図は

こんな感じです。

 

もちろんみんな座っています。

 

 

私は入り口付近で、

ノートパソコンの前でI.C.内容を記録しながら

話を聞く感じになります。

 

 

 

私が記録したので、ある程度内容は覚えていますが、

ここからは、私の記憶をたどっていくので

完全に覚えているわけではないので、

覚えている限りの内容です。

 

 

私の中の何とも言えない緊張感滝汗

みんなに伝わりますかね・・・。

 

 

 

 

 

【主治医より】

(病状説明から)

今回はこの疾患でこの治療をして、

治療後のCTや採血でも大きなトラブルなく経過しており、

病状的には退院できる状況であると思われます。

 

 

(ここから本題滝汗

今回集まってもらったのは、

ご本人のセクハラ行為の件です。

 

本人は図のよう構造だったので

私からは横顔の一部しか見えなかったけど、

しかめっ面になります。

 

家族は、私からは完全に後ろ姿だったので

表情は確認できないですが、

この時点では誰も言葉は発していませんでした。

 

 

主治医は続けます。

もともと、外来受診の時から

看護師や他スタッフに暴言を吐いたりされており、

要注意人物として対応していたんですが、

(そうだったの!?)

今回、入院中も、

看護師に対して「愛人にしたいわ」と言ったり、

おしりをポンポンと触ったり、

袖の中に手を入れ二の腕を触ったり

(看護師からの事情聴取内容です)

セクハラ行為が目立ちました。

 

看護師は、退院も近いため我慢していましたが、

本日、他の入院患者に対して

胸を揉むなどのセクハラ行為があり、

相手の方は、かなりショックを受け

ご立腹されています。

そして、謝罪を希望されています。

 

 

 

 

ここで妻が口を開きます

「それはそうですよね。あなた、どうなの?」

弱弱しい口調でした。

 

本人「そんなん、やってない!侵害や!」

(だよねー‼そうゆうと思ってた!ってゆーか、

この場でやってましたとは言いにくいよね…)

 

 

主治医

そこなんですが、

Aさん(セクハラ患者)はやってない、

でも被害者はされたということで、意見が食い違えば、

被害者が希望されれば警察に協力する義務が私たちにはありますので、

その場合は警察に連絡することになります。

 

Aさんはやってない、ということでよろしいですか?

 

 

 

 

本人「・・・・」

 

妻「あなた、だまってないで自分のことでしょう?」

(標準語の上品な言い方で、この優しい奥様の感じから

本人は好き勝手してきたんかな…って推測したりしてました)

 

本人「謝ったらいいんでしょう!

 わかりました、謝ります!」

(出たー!!! 開き直りーーーおーっ!

 

妻「あなたのことなのよ、やったの?やってないの?」

 

本人「そんなん、謝るしかないやろ。。

  謝りますよ、謝ったらいいんでしょ!」

(ふてぶてしいムキー

 

 

主治医

本人が実際やったという自覚があるかないかということですが、

自覚があるのであれば、

今後はご自分の行動を反省し十分気を付けていってほしいと思います。

しかし、自覚がない場合は、一つに病気ということも考えられます。

認知症の初期症状でも

性の逸脱行動や理性が効かなくなることが

ありますので、

もし、希望があれば、神経内科を紹介させていただきますが、

家族の方から見て最近困った行動をとることはなかったですか?

 

 

妻「…仕事を辞めてから、

 ちょっと怒りっぽくなったりしてるかもしれません。

 家族でもどうしたらいいかわからない時もあります」

 

妻「…その…相手の方には

私たち家族から謝りに行ってもいいのでしょうか?」

 

 

主治医

先方は会いたくないとおっしゃってますので、

勝手に謝罪しに行くのは待ってください。

本人の謝罪の旨と家族の思いを伝えたうえで

必要であれば、こちらから連絡します。

 

 

 

妻「あなたは、何も感じないの?

 理性が効かなくなって、触ってしまった後、

 あぁ、なんてことをしてしまったんだって反省とか、

 相手に悪いことしてしまったってゆう後悔はないの??」

 

(奥様、いいこと言う!ほんまにそう!どう思ってやってんの?)

 

 

「   ・・・   」

本人長い沈黙の後、

 

「覚えてない…」

 

妻「覚えてないって、そんな・・・・」

 

主治医

奥様、それは質問として答えにくいかもしれません。

本当に病気かもしれないし、

自覚していたとしてもここでは認めないということかもしれませんし。

 

 

 

 

 

 

ここで、急に娘が立ち上がり

「ちょっとトイレに・・・」

 

私は主治医と目配せをして

娘に付き添っていきます。

 

 

トイレに案内するとともに

顔色をうかがうとかなり顔面蒼白

「気分が悪くなって…」

(そらそうやんなショボーンつらいやんな)

 

私「そうですよね、トイレ終わったら少し

向こうのソファで休みましょう」

 

 

 

 

そのまま、娘は孫のところへ行き、

カンファレンスルームには戻ってきませんでした。

 

 

 

 

カンファレンスルームに戻った私は、

「気分悪くなったということで

ソファで休まれています」と伝えました。

 

 

 

本人はこっちを向こうともしません。

 

 

 

 

 

その後、

本人に謝罪の意思があるということが

被害女性に伝えられ、

しかし、被害女性の精神的慰安のため

違う病棟へ転棟。

本人はそのまま強制退院となりました。

 

私とは、カンファレンスルームにお連れした後から

一度も顔を合わさず、

そのまま知らないうちに帰っていきました。

 

 

 

 

後日、主治医から聞いた話だと、

強制退院後の初回受診の日に

奥様だけ来られ、

知り合いの脳神経外科で「ピック病」と診断を受けた

と話されたそうです。

 

 

 

ピック病!?

 

あまり聞きなれない病名でしたが

調べると、認知症の一種で

若年性であり、万引きや痴漢など

反社会的行動が目立つようになるとありましたが、

いまいち納得できませんでした。

 

 

なぜなら、「診断基準がまだ確立してない」となっていたので、

問診だけで、いいように診断されたんじゃないのかな

と思ったり(ブラック看護師出てます、すいません)。

 

私が接した感じは、

以前世間を騒がした政治家が女性記者に対して

セクハラ発言をしたような感じなんじゃないかと、

「おっぱい触らせて」って録音されてたやつ!

 

本人は冗談ぽく、

でも極端に拒否されない自分の立場を利用して

言ったり触ったりするやつ!ある意味パワハラでもある。

 

そのことが、警察沙汰になるぐらいのセクハラやと

自覚してないだけというか、、

 

まぁ、どっちにしても

今回の事件で、これはあかんことなんやと言うことは

痛感したと思うからいいけどえー

 

 

今後、彼がうちの病院に入院してくることはありません。

(出禁になりました。外来受診はOKのようですが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、私たち看護部でも

今回の事例を振り返り、

 

私たちが、要注意人物と認識してたにも関わらず

野放しにしてしまったことで、

入院患者が一人セクハラ被害にあうことになってしまった。

このことは、やはり、看護師も悔い改める必要がある。

 

看護師は日々関わっており、

関係性を壊したくないがために

嫌なことも我慢してしまう傾向にある。

 

でもそれは、自分たちはよくても、

今回のような被害者を出してしまうことにつながってしまうため、

そうならないために、

少しでも、言葉の暴力やセクハラ行為があった場合は

上に相談し、特にドクターには報告し、

(高齢の患者はドクターの言うことは聞いたりすること多いしねプンプン

 

 

 

また、個人でもはっきり、拒否することが必要である

という、結論に至りました。

 

 

「それはセクハラ行為になりますのでやめてください!

セクハラは強制退院の適応になります。真顔

 

 

そう、はっきりゆってやりましょう!!!

そして、一人でも被害者を増やさないようにしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

ここで一句

 

セクハラは

見過ごすことなく

強制退院!!!