君主たちは領土を防御し、反乱から自分を守るために城を築いてきた。
しかし、君主が持てる最高の“要塞”は民衆の支持である。もしあなたが堅固な城を持っていたとしても、国内の民衆に嫌われていたら、城もあなたを守ることができない。
歴史上、役に立った要塞も、立たなかった要塞もあるが、これを過信して民の怒りを恐れない君主は、無知のそしりを免れないだろう。
解説
全長9000キロにも及ぼうかという、中国世界遺産・万里の長城は、一般に秦の始皇帝が建設したとされている。が、そのほとんどは、明代に建設されたものだ。驚くほど長い時間をかけて、北方異民族に対抗して建設されたわけだが、それが意図通りの役割を果たしたのかは疑わしい。なぜなら、明が滅亡した原因は、長城が異民族に破られたことではなく、民来の不満にあったからである。
明の滅亡の原因として、よくヌルハチの侵略、文禄・慶長の役などが挙げられるが、最も根本的な原因は、民衆の支持を受けなかったことである。政治は腐敗し、役人は民衆から搾取しながら自分の欲望を満たした。
まるでフランス革命前夜のように、農民は蜂起し、君主の権力はどんどん弱体化していったのだ。国家の滅亡、会社の倒産を見ても、その崩壊は内部から始まると言って良い。外敵は副次的な要素に過ぎないのだ。良いリーダーは部下の支持をこそ、組織を守る要塞とするのである。