GET IT BY YOUR HANDS
疲れたぁ~!今日はここまでにしよう。
懐かしい疲れ方だ。やはりこの勉強は漢字学習とは格が違う。何しろ勉強と暗記とは疲れ方が違うのだ。漢字を何度も書き繰り返しているうちに眠くなるが、新しい知識を吸収し、応用しようとすると疲労してしまう。こうやって新しいものを学んでいると教科書を使って日本語を勉強していた日々を思い出す。
化学と物理の勉強は順調に捗っている。予想していた以上に時間がかかっているが、内容はよく理解できていると思う。しかし問題は数学だ。初級者向きの参考書を使っているのに、頭が悪くて演習問題がなかなか解けない。
俺の親父はワルシャワ大学で博士号を取る寸前でポーランドを出発してアメリカに来た。大学時代はクラスのトップだったらしくて、要するに頭がいいというわけだ。そして親父の遺伝子を受け継いだ俺だから、理科に才能があるはずだ、とこの間親父がメールで書いた。そしてそれに付け加えて、「だが才能があっても多くの時間と努力なしには何ともならない」、と。
俺は褒められているのか?諭されているのか?奴が自慢しているのか?
確かに子供の頃は算数が得意だった。だけどあれは遠い昔の話だし、もう何年間もやっていないし、大体俺の好きな数学は大人のそれとはまるで無縁だ。
俺は計算するのが好きだった。今でも好きだ。大好きだ。本当の話、中学校の昼休みはよく(x-1)のn乗を計算していた。nに1、2、3…を順に代入して計算を書き上げるのが好きだった。しかもそれが楽しいとさえ思えた。変な趣味だと分かっているけど、実は今でも俺にとっては楽しい思い出なのだ。何枚かの紙の至るところを計算で埋めているうちに、何らかのパターンがあるだろうと思ったが、それを見出そうとしなかった。そんな難しいことを考えるよりも、ただ数と遊ぶ方がずっと好きだったからだ。皆が思っていたよりもずっと頭の悪い子供だったに違いない。そして今となって高校生が解けるような簡易な問題で首を捻っているのだ。