煙が出たぞ
門限の寸前に寮を出かけて近くの漫画喫茶店に行った。今度はきちんと外泊届けを出した。まあ、僕にとっては「きちん」って感じがしたけど。
住所といった欄に「この辺のお店。住所は知りません。」と書いてやった。電話番号の欄の真ん中にはただ「?」と。部活動でもなければ友達の家で泊まるわけでもなかったので、「その他」に丸をつけて「娯楽」と書いた。適当に記入したように見えるけど僕にしては結構気を遣ったもんだ、と片腕で額に滲んだ汗を拭きながら自分に言い聞かせた。
最近は出来るだけ沢山のメディアに触れようとしている。小説、漫画、映画、音楽、凄まじい勢いで手に入れられるもの全部を吸収している。寮の食堂で食事をする間はずっとテレビを見張っている。
若い間は面白がるけど吸収し続けたらいつかは飽和点に至り、何でもかんでも同じように見えてくると、親父がこの間メールで言った。親父は若い頃よくおふくろと一緒に映画祭に行ったりしていたらしい。
つい最近まで本や映画には全然興味がなかった僕はまだまだ始まってもいないような気がするからいつかは飽きてしまうことはないだろうと思う。本なら最初は多少勉強の為に読んでいたが最近は趣味のようになってきた。音読とかはしないからいくら読んでも多分何の役には立ってないだろうな。
ただ読む速度が確実に上がったことは瞭然だ。本に出てくる本好きな人物はいつも「二日に一冊」とか、大体その程度の速さで読んでいると書かれているが、僕はまだそこまでではないにせよ、少なくとも一週間に一冊というペースぐらいだろう。一応「ニート」は今日読み終えるつもりだ。
昨日丸善で本棚の間を歩きながらもう少し自分の趣味を分析してみた。単純な僕は、主人公と共感できなければ話にはあまり乗らないから、本を選ぶ際にはまずそれをチェックするのがポイントだ。男女を問わず、とにかく主人公が自分の年齢に近ければ近いほどいいが、短編だと様々な語り手があって厄介なものだ。短編はできるだけ避けたほうがいいと思いきや、結局「ニート」を選んだのだ。実は買ったときはこれは短編小説だということは知らなかった。今まで読んできたところ相当面白いから大丈夫だけど、これからは少し注意をするべきかもしれない。