メープル夕日 | long island sound

メープル夕日

火曜日授業から抜け出し、新宿の紀伊国屋に行った。通学しながら読んでいた村上龍の「ストレンジ・デイズ」をやっと読み終えてしまったので、文庫本を買いに行ってきた。実は部屋の本棚に、まだ読んでいない本が数冊並んでいるが、どれも友達に勧めてもらったものとか、元彼女が好きだったものとか、随分軽い気持ちで買ったもので、読む気にはならない。一冊を読み終えるだけで1、2週間もかかることが多い俺には、何かを読みかけて興味を失って止めることだって少なくない。一方、気に入ったら2、3日で最後まで読んでしまう本もある。


では、一ヶ月にわたってのろのろと読む本と、電車から降りてもホームで立ち読みする、俺を魅了する本とはどう違うか。勿論ストーリーと作家の執筆によるが、本そのものの工夫が意外と重要であると、この間気づいた。ページの枚数、フォントと段落の間隔、各ページにおける余白の面積とかによって本の与える印象が大部違ってくると思う。「ストレンジ・デイズ」を手に取り、太い活字がびっしり詰まったページを捲ってみると、やる気がなくなってまたコートのポケットに突っ込んでしまったことが多かったのに対して、華奢な細字と広々とした余白からなる村山由佳の「天使の卵」は、なんとなく落ち着いた感じがして、とても読みやすいと思った。この二冊が内容的に極端に違うからそんなのは当たり前かもしれないし、例外的なケースは数多くあるけど、俺は出版社と編集者によって好き嫌いを決める傾向が多少あるに違いない。


あれ?もしかしてそれは、俺が浅い人間だということを指しているのでは?