auparavant
「きっと恋はするものじゃなくて、落ちるものなんだ。」映画でそういう有り触れた、甘酸っぱい台詞を聞いたことがある。でも、多分実際にそうだろう。好きな人を選ぶことができないし、一度好きになったら冷静に考えられなくなってしまう。この18歳の甘酸っぱい青春は、長く続きそうだ。
そう言えば、俺の初恋はどんな味だったのだろう。例えるんだとしたら、甘い恋愛だった。噛み付くと歯が痛くて、頭痛するほど甘ったるい恋だった。相手がパーティーで紹介してもらった、二十歳の女性だった。大学に出発するまでの三日間で、俺たちは出会い、そして三回もデートをした。
初めてのデートは、ユニオン・スクエアのビリヤード店に行ってから、グリニッチ・ビレジのイタリア料理店で夕飯を食べた。彼女は道で物乞いをしていたホームレスを見たら必ずお金を上げるような、とても優しそうな人だった。お店を出て、近くのバーンズ・アンド・ノーブルに入り、好きな本とかについて話しながら一階から四階まで散歩した。俺は、散歩するのが凄く好きだから、その店を出てから、今度はペンシルバニア駅まで歩いてみた。彼女が乗るバスの所に着いたのは10時頃だった。バスが来るまで、俺たちは訳もなく踊って時間を過ごした。別れる時は、生まれて初めて女の子とキスをした。
俺は、彼女を利用していたんだ。経験を積むために彼女と付き合っていた。パーティーで一番綺麗な人を狙い、偶然でそれはあの彼女だった。俺の初めてのキスは、多少気持ち悪かった。
それから次の日はタイムズ・スクエアのヒルトンにあるレストランで食事し、映画を観に行った。映画館から出て、暖かい夜のニューヨークの街を散歩し始めた。すると、堰を切ったように俺は彼女に俺の全てを語り、彼女に色々質問をした。二十歳であった彼女は、懇切丁寧に俺の質問に答え続けた。遅くなったら彼女をタクシーに乗せ、そのように人生での第二目のデートが終わった。
翌日、昼頃ハンター大学の近くに待ち合わせをした。サブウエイでサンドイッチを買い、セントラル・パークではしゃいで遊んでいた子供たちを眺めながらそれを食べた。天気は良好で、秋にしては温かい一日だった。夕方までセントラル・パークにいた。お腹が空いていて、地下鉄に乗ってユニオン・スクエアの寿司屋さんで夕飯を食べた。食べ終わったら本屋さんに行って、そして駅で一緒に地下鉄に乗った。俺が降りる駅になったら抱き合い、そして俺がホームに降りて、ドアが閉まってもお互いに手を振り続けた。そうして、俺は翌朝5時にマサチューセッツの大学に出発した。
俺は彼女を利用するつもりだったが、いつの間にか本気で好きになったような気がしてしまった。しかし、彼女と約束をした。離れている間はお互いに自由に付き合い、経験を積んでいく、と。彼女は、17歳の俺を束縛したくなかったらしい。それで一応他の人と付き合ってみたが、一ヶ月ほど毎日彼女とチャットしていた。彼女のことを考えながら俺はプールに通い、身体を鍛えていった。そして九月の或る金曜日、俺は思い切ってバスに乗り、ニューヨークまで駆けつけた。タイムズ・スクエアのヒルトンのATMで六百ドルを下ろし、部屋を借りた。翌日彼女と再会した。
実は彼女は癲癇に患っていた。ホテルの部屋の中で激しい発作が発生し、よだれが口から滴り、目が異様に動いていた。彼女の身体が全身酷く震えながら、言葉にならない呻き声を立てていた。彼女の目はずっと開けたままだった。そして数秒後、突然黙り込んだ。彼女の身体は俺の腕の中で、急に動かなくなってしまった。
声を掛けても返事が返ってこない。身体を動かしても何の反応もない。でも、呼吸はしているし、脈をみてみたら異状はなかった。よだれを拭き取って、ベッドの端に腰を下ろし、外の夕日を眺めた。
あの日から、彼女を恨み始めた。あるいは、自分のことが嫌で一人でいたかった。いずれにせよ、大学に戻ったら連絡は殆どしなかった。一度彼女が数日間大学まで来てくれて部屋で泊まっていたが、あの頃俺は既に彼女に飽きていて、来られては迷惑だった。最後の夜に俺は地下のラウンジで勉強し、次の日に大学のバス停で見送った時はずっと黙り込んでいた。それから話さなくなり、次の彼女と付き合い始めたらあの人にあっさりとしたメールを出した。「終わりだ。二度と話してくるな」、と。
俺は、一瞬でも彼女を本気で好きだったと思う。しかし、それは泡沫のようで、次の瞬間はその気持ちはもう消えていた。俺の初恋は人工の添加物から作り上がった、極端に甘いものだった。
本当はこんなことについて書きたくなかった。