特別賞
「フィクションなんて何の価値がない。映画だって、皆同じようなものばっかりで、一作を観たら二度と映画館まで行く必要はない。」父親はいつもそう言っていた。ホストファミリーのリョウシンも、映画は殆ど観ない。テレビは、ニュース以外は観ないそうだ。
俺は、それが間違っていると思う。いや、言い換えれば、かわいそうではないかと思う。
漫画と小説と画は、或る歳を越えればくだらないもののように見えてくるのかな。なら、俺もそういう歳になれば嫌いになってしまうかもしれない。でも、空想にしか存在しない世界を描くものだが、価値は十分あると、今の俺は思う。それは漫画であっても映画であっても、それを堪能することによって感動するというのは、掛け替えのないものではないか、というような気がする。
今日は休日だった。バイトから帰ってきて、朝飯を食べてすぐに眠ってしまった。起きたのは午後3時頃で、外が曇っていた。夕飯までは「四日間の奇蹟」という、甘ちょろい駄作の映画を観ていた。それを観て、俺は母親の子供だということがはっきりと分かった。母親はいつもソファーで座って夕方のドラマを見ながら泣いていたのを、よく憶えている。「馬鹿だね、ママ」と、涙を抑えながら俺がいつも言っていた。映像と音楽がうまく組み合わせられ、涙腺が刺激されたら悲しいことを思い出し、つい泣いてしまうものだ。
夕飯を済ませたらまたDVDを借りに行ってきた。今度選んだ作品の一つは、「いま、会いにゆきます」という名作だった。深い感銘を受けさせてくれた逸品だ。最後まで観てから、何となくすっきりした。軽い頭痛と寂しい気分が残っているけど、今晩はぐっすり眠れそうだ。