自惚れ
うちの大学では来週、学園祭が催される。僕が属している文学会は堀江敏幸という有名な作家を招待するから、色んな準備でこの頃は結構忙しい。その上、ホストファミリーに勧められてスピーチコンテストに出場することになって、せっかく皆歓迎してくれたから主催している部にも入った。面倒くさい時もあるけど、サークルに入って沢山の新しい友達に出会えて嬉しい。でもサークルとは週に一回ぐらいしか部員が集まらなくて、親しくなる機会がなかなかない。今度編入したら、練習の多い体育系の部に入ろう。
じゃあ、本題の「自惚れ」に入るが、前述のスピーチコンテストの為に、出身地の写真を持って来るように頼まれた。写真を撮るのが好きでニューヨークを溺愛(?)しているものの、古いパソコンを取り出してマイ・ピクチャを開いてみると、保存しているのはマサチューセッツと日本の写真ばっかり。ニューヨークの写真もあるけど、その殆どは昔の携帯で撮ったもので、どっちもぼやけていて使えそうな映像は一つもない。 寧ろ圧倒的に多いのは、自分の顔の写真だ。普通撮るのは好きで撮られるのは嫌な僕だが、鏡代わりに携帯で撮った映像を使って見た目をチェックしたのはしばしばだ。その他、退屈を潰す為に撮った写真と、飲み会とかで友達が撮ってくれた写真を含めて、なかなか豊富なギャラリーができた。
自分の見た目は結構醜いと思うけど、昔の僕の写真を見ていたうちに魅力を感じた。特にumassでの最後の日々は凄い。不規則な生活に伴った最悪な体調と不潔な格好と、顔にぽつぽつと隆起しているニキビに、何故か感動してしまった。
彼の頑張っている様子に憧れている訳じゃない。大体あの頃、本当に頑張っていたかどうかさえも疑問だ。性格も最悪だったし、いい所は一つも思いつかない。それでも、彼は魅力的だと思う。
思いっ切り自慢しているように聞こえるかもしれないけど、実は自分がその彼と同じ人だとはとても思えない。自分がどれ程変わったかに驚愕していると言うより、真っ赤の他人を見ているという錯覚に陥っているぐらいだ。
とはいえ、殆ど変わっていないところもある。昔の問題は解決していないままだ。でも、それは以前と変わってないものとは感じないで、ただ二人が偶然共通している欠陥だとしか思えない。それでも、彼の方がずっと勇ましくて格好いい。日本に来て、自分を改善しようと思ったのに、本当は創造したイメージから遠ざかっているばかり。問題から逃げているばかりか、そもそも何が問題で何が理想だったのか分からなくなってきた。一方、彼は自分が何をしたいかきちんと分かっている。
彼は今の僕を見たら、何を言うのだろう。想像もつかない。