No.1 | long island sound

No.1

今学期取ってる倫理学では、12週間に亘って毎週2、3人から作られたグループが発表をする。発表が30分程度で、配布するプリントも自分で作らなければならない。発表したくない学生はその代わりにレポートを書けばいい。グループと発表の内容は最初の講義で決定されるので、リサーチの負担をパートナーと分けて真面目にやれば時間的にゆとりさえあるぐらいだ。ただ、一番先に発表する人は準備するのに一週間しかないし、前例はないから結構大変。


僕はそんなことを百も承知の上に、何故かそのグループに入った。それに不思議なことに自ら手を上げてしまったんだ。


そう、僕は木曜日に発表する、あのグループ1だ。嫌、確か正確に言えばあのグループ1の一人だ。確かにパートナーはいる。僕が手を上げた直後グループ1に入るように彼は声を上げた。こいつ、頼りになるかも!と思いきやこんな事件も。


昨日、プリントを提出する為に教授の研究室に行った。その前少し話し合った方がいいと彼からのメールで、20分早く大学に着いて待ち合わせの場所に向かった。すると携帯に着信。


「ちょっと病院(?!)に寄ってから行こうと思っていたのですけど、思ったより遅くなってしまいました。そういうわけで、絶対にまにあわない状況に陥ってしまった…」と。


えっ、あれ?待ち合わせばかりか提出を一人でしろって、あの、ええと、あ、あれぇー?!それに件名に「遅刻」って書いたじゃん?これでもう遅刻じゃないよ?


というわけで、完全にすっぽかされた。初対面から変わってる奴だと思ったけど、正に想像を超えた状態になった。彼が声を掛けた時に顔はあまり見られなかったが、会ってから面喰った。こいつパブリックスピーキングには全然向いていないじゃん。最初挨拶をしたのは僕で、彼から話を引き出す為に散々苦労した。彼の出身を訊いたら余計に長くて曖昧模糊とした説明の挙句、それは西の山の奥に位置している小さな村だとしか分からなかった。どういう名前の村だと訊けば、聴き取れない程小さな声で答えた。寧ろ僕がニューヨークからだと言ったら、彼が倒れそうな程身体を後ろに捻って、「いいなあぁー」と近くにいた学生達をびっくりさせた大きな声で叫んだ。足を曲げて、背中を床と並行にした姿に笑わせてしまった。


でも本当は笑うどころか、これから30分―僕の分は15分だけの筈だけど木曜日になったらあいつ絶対に現れないと思う―の発表を自ら作ろうとしている。文献は必死に集めた。昨日プリントを提出したら先生にもう一度作りなさいって言われたので今晩はそれに一晩中取り組んで、それがOKだったら明日本格的にスピーチを書く作業に。


いきなりこんなに大変になるとは思わなかったが、この峠さえ越えれば、倫理学のグレードを獲得。逆境にめげず、ばりばりと頑張ろうや!