マイジャパン | long island sound

マイジャパン

「日本って、お前のジオンだな。日本語の勉強で一年間もつぶされて、期待に応えなければどうする?」
「さあー 自殺かなぁー」って笑った。

空港に着いた朝の眩しい太陽に照らされた待合室に座り、大きい窓から見えるアメリカを眺めた。両者の両親を騙したり、数え切れない嘘をついたりし、やがって空港に辿り着いた。荷物に詰め込んだ服と共に辞書もあった。二ヶ月前から慎ましく準備していたので、飛行機はニューヨークから日本に無着陸飛行で、ホテルは京王プラザというJR新宿西口下車から徒歩5分だった。結構安かったし、素敵だった。

しかしどんなに素敵でも、あの12時間以上の飛揚はまるで地獄だ。終に降りてからこの外人の片言で税関を通過し、ホテルバスを探した。自動販売機からジュースを買い、ヨーグルトみたいなものが入っていてびっくりした。

バスの窓から同じ眩しい太陽を見た。東京までの風景は満目グラスや鉄のビルだった。

「ハハ、何だよこれ。これって日本か?古来の寺とか、歴史に磨かれた大和魂はこういうもんか?」

ちょっと失礼だったかも知れないが、彼の言っている事は完全に間違ってはいないだろう。確かに、日本でもその見方があるそうだ。その歴史から迷ったり民族の誇りを失ったりする日本は、これからどうなるか。日本文化に興味はない僕には関係じゃあるまいし、何も返事しなかった。僕は、国自慢等の事を考えるよりも、自分の幸せを追い求めたい。それに、国や名所だけではなくて、生まれ、価値観、信ずるもの、言葉、その様々に違うものから国籍という事が生まれてくるのであろう。ポーランド人の僕はそう思う。ポーランドという国は、時々正式な国として存在しなかったり、戦争に破ったりしても国語や習慣を守ってからというもの何度も再生した。そして、あの国語や習慣を見捨てた僕は、まるで外国人になってしまった。近所の店の人とか隣の人とか、親戚までも話し合えなくなってから、余計者と思われる気がする。あの店の人達と交流できなくなり、英語が分かる店に行き始めた。そのようにだんだん離れ、ビルや人が若い頃と同じでも全然違うと感じる。言葉って、意外と大切な事であろう。

ホテルに着き、荷物を床に残し、周囲を窺いに行ってきた。あの夜空の下に公園、駆け回った人達、本屋、自動販売機、どんなに平凡でも僕の目に鮮やかに映られた。あの夜、東京のスカイラインを見下ろす27階の部屋で眠れなかった。