涙も海もしょっぱかった | long island sound

涙も海もしょっぱかった

マリナの中に在った家の窓から見える海は毎日暖かかった。数年前に倒れた煉瓦工場の跡はまだ底に残り、水母いっぱいの海だったけど、結構好きだった。そして、マリナから泳ぐと、広くて深い大海も見える。毎日、浜伝いに並んでいた家達まで泳いだ。実は、その家達何年前も見たことがあった。あの時、6歳の僕は親父と一緒に小さい帆船に乗っていた。無謀な親父は、出発の所から離れすぎ、帆船が何度も倒れ、一時間後見知らない浜に打ち上げた。砂浜でしくしく泣いていた僕は、9年後再びあそこに打ち上げると夢にも思わなかった。