はい、RayuTube登録者様1,180人です、ん、順調です。
新カバー・リリースは銀の龍の背に乗って (フジテレビ系ドラマ『Dr.コトー診療所』主題歌) /中島みゆき
です。
はい、映画版Dr.コトー診療所、観てきました♪良かった。
天皇陛下も、鑑賞されたそうです(#^.^#)
バウンディは…
【milet×Aimer×幾田りら×Vaundy】「おもかげ」
テレビ初!奇跡のコラボを披露!【紅白】NHKです。怪獣の花唄も良かった♪
あけましておめでとうございます。
昨年12月は、思うように記事が更新できなくてすみませんでした。
読書はしてるんですが、色々能力不足で(>_<))
一段落したので、書初めです。
「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」江國香織(著) 朝日文庫
第51回谷崎純一郎賞作品。
江國香織は優雅に柔らかに、大らかに物語を描きます。
女性らしい気づきの多い視点で、児童文学作家らしい無垢な瞳も知っているし、近代フェミニストですから、クソ野郎どもを(昭和脳の男性の猿のような行動を)シニカルに描き(ハッとするほど雑に骨っぽく≒低俗に、くそのように描き、え?言い過ぎ(#^.^#)ニャハハ)、皮肉ったりします。
そんな彼女らしい、と言えばそうなのか。
この物語は、殊に不思議な作品でした。
とある、こじれた家庭の日常の切り取りを、幼い(男の子)主人公・拓人の瞳で描くのですが。
この幼児が少し変わってる。
言語能力が(他の子と比べてやや)未発達で、それ故に未だ受容器を感覚に頼って生きている、風な少年です。
それは超感覚に及ぶもので。昆虫と話せる、植物、環境までにも色や音を覚知する、いわゆる無情・有情の命に感応する能力があるという…
すわ、エスパーものか?と早合点しそうですが、作家はイヤイヤ、待ってと。
子供って、そんなものじゃない?と、優しく宥(なだ)める調子です。
はい、まぁね。そう言えば、そうかも?ですね。
自分も子供時代は(幼稚園位の時は)庭先などで、昆虫(主にアリ)を眺めて遊んでいましたっけ。
「iuちゃん、お友達は誰なの?」
「はーい♪ありんこ、でーす♪」
と先生に答えてしまって、物議を醸した事もあったなぁ(#^.^#)
むーむー、と言ってるとか、ぞぶぞぶ、と呟くとか(気配か?)ここにいるよ、と言ってるとか。
雰囲気(騒がしいとか、剣呑な気配とか)を色で受け止めるとか。
判らずしも遠からず←と思わせてくれるのですが。
少しややこしいです、というのも拓人の思考の章節は、全てひらがなで。
それだけでも思考が停止するのに、これを大人目線の(作家の)翻訳で描くから、更に理解しなくちゃいけません。
たくとはことばのいみをりかいしない。せかいはすでにじゅうぜんで、おとにいみはないからだ。(原文抜粋)
ふむふむ、じゅうぜん→充全ね。
と、実はこれがツボなんですね。
はいはい、何言ってるの、拓人ちゃん?となる。
読者は、一定のリズムを強いられる事になります。
読み易い普通の文章(姉・育実も含む)と交互に、拓人の章節がくるので、ここで手間取り。
結果、この手間が物語への没入感を生みます(生むように思います)。
より印象深く、世界観に入り込めるのは、作家の意図なのか(笑)
不思議な物語とはこんな構成面が、その一つですが。
更に不思議な点は、どうやら拓人の超感覚を、本当に特異な能力を持っていると、作家が筆を譲らない点です。
姉・育実は共に過ごし、検証の上確信していますし、母親も、墓苑の管理会社員・小島というおじさんもそこに異様さを伴なって気付いている。
読者も思う筈です、本当みたいだ、でもだとしたら?→(ただ事ではないんじゃないか?)
拓人の無垢な感受性が理解出来そうで、理解できない(したくない)不思議さがあります。
この物語(この子)、何か異常なのだろうか?異常というより……異状?
ストーリーは。
そんな不思議ちゃん、拓人の日常です。
身近には、姉・育実。母親・奈緒。
奈緒は可哀想な主婦です、夫・耕作が不実な男で、浮気しています。それで精神が参ってる。
この耕作の開き直りに呆れるのですが、実際、世にこんな男はたくさんいます(だから世の実情の糾弾ともいえる)。
並行して、周辺の人々の日常が描かれます。それは騒がしいお隣さんやピアノの先生の親子、墓苑の管理会社員等々で。
ごく普通の人達ですが、拓人には気配を色で読み取る力があり、思惑や感情が露わになり、例えば綻(ほころ)びなどが(拓人には)判ってしまう。
では、異様な日常なのか、と言うと?そうでもありません。
拓人とはまるで、例えば、表題のイモリ、カエル、シジミチョウのように無垢で作為のない存在であるだけで、感情の過流にいる大人達に干渉せず、破綻も与えないので。
―物語は、幼い彼を通して。
つまりごく普通とは、当たり前でない感情も有る、と教えてくれているのです。
結局、奈緒や耕作、浮気相手の真雪など、不自然な関係を、日常として過ごして行く事になる……
この物語、ありふれた家庭の不和を描いただけですが。
拓人という特異な視点(特異点)を交えたに時に、いかに人の感情が猥雑であるか?描く作家の筆の巧みさ、思考のタフネスぶりに舌を巻きます。
ややもすると(韓国映画の脚本家などは)サイコミステリーに深読みしそうですが、作家は?ありがちな話だとしてしまう?
それを、子供の脳機能の一時的な短絡の記憶に埋没させてしまおうと描いていますよね、多分。
そんな作品を描いてしまうのだから、驚きではありませんかΣ(゚□゚;)
江國香織って凄いですね(#^.^#)
感覚の異世界、複雑な人の心など、拓人が誘(いざな)ってくれるので、そこに興味がある方は是非。
面白い世界に浸れますよ~♡傑作です♪