お父さんは、父親と言うより友達のような感じでした。

ドライブが好きで、よく道の駅に行ったり車中泊して遠出したりしてました。


そんな父が肝臓癌になり、入退院を繰り返していました。


父の夢は


「年金生活で楽しむぞ!」


と、よく言っていました。


退院している間は仕事に行ったり休みの日にドライブに行ったりしてて、癌だというのは嘘じゃないのかな?と思えるほど元気でした。


いつもと同じように過ごしてた日に、突然やって来ました。


トイレに行くと大量の血便。


急いで病院に行き、即 入院になり、先生から告げられた言葉は、


「もっても2週間」


信じる事が出来なくて、毎日 病室に通いました。

食事は禁止、水分は1日決まった量のみ。


数日経って病室で父がこう言いました。


「変な夢を見た。わし、死ぬんやろか?」


私は涙をこらえ、


「なん言いよん。死ぬわけないやん。」


と答えました。


それから3日目の朝、病院に泊まっていた母から電話がありました。


「お父さん、死んでしもた」


急いで病院に行くと、動かない父が寝ていました。


バタバタ葬儀の準備が始まり、お通夜は近所の人や、仲の良かった友達が集まり、その中で、まだ死んだ事を受け入れれない私がいました。


夜、お父さんが寝ている横に座り、大好きだったコーラを口に濡らし、朝を迎えました。


葬儀が始まり、出棺の時は子供のように泣きじゃくり、


「お父さん、早く目を覚まさないと焼かれてしまうよ」


何度も何度も言っても目を覚ます事はなく焼かれてしまいました。


58歳。


後 数年もてば夢だった年金生活を送る事が出来たのに。


死んだらいつか忘れる日が来ると言う人もいますが、私は何年経っても、忘れる事が出来ず、時々、父に会いに行きたくなります。


あの時、ああしてれば良かった。


後悔ばかりです。