駅からの帰り道、商店街を歩いていると、お兄さんの車が向こうから走って来ました。

お兄さんは、私に気付いて会釈してくれて、私は思わず、振り返って彼に微笑んでしまいました。

お兄さんは、えっ?て感じて私を見ると、ハンドルに突っ伏すように笑って、去って行きました。

どうしてなんでしょう。時間にすると、たぶん、5分もかからないような、こんな短い時間の話なのに、お兄さんと目が合ってる時間は、なぜかスローモーションで、何度でも再生できるようなんです。

仕事と育児と家事に追われて、毎日がドタバタと、よくわからないまま終わっていく日々の中で、お兄さんとの時間だけが、誰の名前も冠しない、私だけの時間を取り戻してくれるようです。