久しぶりに彼に会えました。

私は嬉しくて、そわそわしながら玄関に出ました。ドアを開けると、彼も微笑んでいて、心なしか、会えて嬉しそうに見えました。

お兄さん、あの、

私は荷物を受け取ったあと、彼を引き止めました。

このあいだ、集荷の件、ありがとうございました。

私がそう言うと彼は、一瞬考えて、

大丈夫でした?

ちょっと前の、しかも電話でのやりとりだったのに、覚えてくれていました。

私がうなずくと彼は、

僕、請負で、集荷はできないんですけど、言ってもらえれば社員さんにつなぐことはできるので。何かあれば言ってください。

と言ってくれました。

2週間くらい前に、私はお兄さんの電話に、集荷の問合せをしていました。送りたい荷物があったので、集荷をお願いすれば、お兄さんの件数になるかな、なんて思って。

そうしたら彼は、

僕は集荷の対応ができないんですが、もし日時が決まっていたら、同じ営業所の社員に伝えて手配するので、おっしゃってください。

私は、彼のこういうところが好きです。私もサービス業だから、特にそう思うのかもしれませんが、単にできない、って言わないところが好きです。

大丈夫でしたよ。お兄さん、集荷は対応されてないのに、社員さんに伝えてくださるって言うから。機転が利くから。優秀だもんね。

彼は照れたような、嬉しそうな顔をしました。

私も、なんて言うのはやめました。そんなことより、彼を褒めること。そのほうが建設的です。行き詰まったときは、相手にしてあげられることをすること。

今日は、彼は、私が褒めても謙遜しませんでした。ただ、嬉しそうなのは伝わってきました。それに、どこか安堵している様子でした。もしかしたら、私が彼と話せて胸がいっぱいだったように、彼も、謙遜するほど余裕がなかったのかもしれません。

彼の言動を見ていると、彼はきっと、頼られると嬉しいタイプなんでしょうね。そして、それに対してリアクションがあるのが、好きなんでしょう。夫が受け身なタイプなので、すっかり忘れていましたが、男性ってそういう人が多かったですね。

それに、彼は優しい。今日は、少しかさばる荷物だったのですが、さりげなくドアを押さえていてくれました。重い荷物なら、もちろん玄関に入れてくれます。当たり前のように思えるけれど、できない人はできないです。

彼の優しさは、どこか美容師の彼に通じるものがあります。男っぽい人なのに、気遣いはとても繊細。彼らといると、自分が彼の、大切な存在なんじゃないかと勘違いしてしまいます。

私はもっと、彼と話したい、話さなくちゃいけないと思いました。それが唯一、私と彼を繋ぐものだと思ったからです。