飲み会の一件があってから、彼に食事に誘われるまでのあいだに、何かのイベントだったか、打ち上げだったかで、彼と出くわすタイミングがありました。
そのとき彼は、会って最初に、
髪色変えた?って、私に聞いたんです。
それで、私はひどく不愉快になって、彼のことを無視して、立ち去ったことがありました。
一緒にいた友人は、
あんなイケメンに、あんな態度とって、大丈夫?
と言いました。
彼の言葉にイラついたからとはいえ、私にも言い分はありました。久しぶりに会って、開口一番それ?
私が言いたいのは、そういうことでした。誉めるポイント、ほかにもあるでしょう?
余談ですが、夫は私のことを、死にゲーだと言います。一度死なないとクリアできないゲーム。地雷がどこか、分からないからですって。失礼だと思いません?女心の分からない輩が。
この件は、ほかのインカレの男の子達にも衝撃だったようです。なにせ、誉めたつもりが機嫌を損ねたのですから。
私は面白くない気持ちでいましたが、一緒にいた友人は、ひどく面白そうでした。
いいな、いつかは。私は男子に媚びを売るけど、いつかのことは、男子のほうがご機嫌とりするもん。
そんなわけないでしょ!と私が言うと、友人は、
気付いてないかもしれないけど、いつかが飲み会とかイベントに来ると、来てすぐに、男子がエスコートしてくれる。飲み物とってきたり、話し相手になったり。
彼女は同じインカレの女子大の学生で、私は別の私大の学生でした。
私の通っていた大学は、下から来る子も多くて、そういう男の子達は、大概、優しくて、気前が良くて、少し頭悪い感じでした。だから私は、それが普通で、インカレのそのサークルでも、エスコートされてるとは、まったく感じていませんでした。
とにかく彼は、そういうことで、私の高慢なところが面白いと思ったのか、そのあと食事に誘って来ました。そして、
せっかく会うんだから、何かリクエストしてよ、と言うので、
私は、
船に乗りたい、と言いました。
それで、デート先は横浜になりました。