自宅でDVDを一本鑑賞。
そういえば、職場で書籍を紹介するコーナーがあり、『それが映画をダメにする』の講評をさせていたいた。
その中でも論じさせていただいたが、ヒット作品と言えば、「野球映画に外れなし」ということである。
これは単純に競技の経験&愛好家が多いため、いい加減なものは作れない=「作り手側に求められるハードルの高さ」が要因であると本書は分析している。
つまり、野球でテキトーな描写をすれば、大ひんしゅくを買うということである。
これは特にベースボールの祖国アメリカの映画人は特によく理解している。
例えば、『人生の特等席』(12年・アメリカ)は決して野球シーンがメインではないが、選手役はもちろん、キャッチボール程度の場面しかない娘役に対してさえ、専門家による野球トレーニングを行っている。
彼女の女の子離れした投球フォームが幼いころから野球好きだったとの設定に説得力を与え、野球バカ親子の父親を受け入れる筋書きに観客が共感しやすい効果を上げていると言える。

さて、本作である。
ビリー・ビーン(ブラット・ピット)は元プロ野球選手で、今ではアスレチックスという弱小チームのジェネラル・マネージャー。
ピーター(ジョナ・ヒル)というイェール卒業の若いスタッフに出会い、ビリーはそれまでの勘と経験に頼るチーム運営から、統計に基づいた「マネーボール理論」に頼ることにした。
保守的なスタッフたちは反対し、監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)も言うことを聞かない。チームの成績は急速に悪化した。
それでも、ビリーは選手たちを次々にトレードし、直接アドバイスを与え、自らの信念を貫こうとする。やがて、チームは史上初の20連勝を達成する。それでも、チームは最後に敗れて優勝を逃す。意気消沈するビリーに、ボストン・レッドソックスから高額のスカウト話が舞い込むのだが。
実話に基づいた作品とか。
シーズン中でも、選手をいとも簡単にトレードしていく様子には驚きます。
確かに、アメリカ映画には野球映画というべきジャンルがありますが、それに企業家精神が組み合わさった作品です。
名優ホフマンが地味な役回りで、ややもったいない感じです。ブラピのブラピによるブラピのための映画というところでしょうか。