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カキーン。
カキーン。
深夜。
誰もいないバッティングセンターで、祐太はただ飛んでくるボールだけを見つめていた。
打つたびに頭の中が空っぽになっていく。
無心になれるこの場所が、子供の頃から祐太は好きだった。
辛い時、いやなことがあった時、悩んだ時、泣きたい時。
いつもここでバットを振って、自分自身をリセットしていた。
小学5年のときに親友が引っ越した時も。
高3の最後の夏の試合に負けて野球部を引退した時も。
オヤジが死んだ時も。
ここで気が済むまでバットを振り続けていると、心の奥が透明になっていくのだった。
しかし今日はなかなか気持ちが静まらない。
おかげでバッティングもかすり気味だ。
明日、初出勤だ。