ショッキングな事件が起きました。

 

熊本県産アサリの産地偽装事件。

 

【アサリの産地偽装は何十年も続いてきた】

 

ニュースサイトを検索すると出てくるこのタイトル。

 

何十年もそれは続いてきた・・・。って、

ひぇ~非常にきびしい。

 

その概要は、

「中国産のアサリを熊本産と偽装して流通させていた。

しかもそれは常態化して何十年も続いていた。」

 

大まかにこんな内容の事件です。

 

熊本県産のアサリは店頭で見かけると、よく購入して楽しんでおりました。

 

 

 

「これは味が国産のモノではない」

 

なんて、漫画の世界のような気付きもなく、

振り返ってみると「美味しい美味しい」といって食べておりました。

 

何十年も続いていたという事は、おそらく10キロくらいは頂いていたんじゃ・・・。

 

騙されたような気分となり、

1日気分が落ち込むほど。

 

「これ業界ではよくある事」と言う人もいますが、

こうした裏切り行為はどの世界でもあってはならないこと。

 

落ち込む気晴らしに、

なぜこうした事が起こるのか?

ちょっと考えてみました。

 

■ 食べている人の事を考えたことないんだろうな

 

業者は、

 

実際にアサリを出荷して、流通に乗って、店頭に置かれて、

それをお客さんが手に取って、それが調理され食卓に並んで食べる。

 

こうした過程なんて考えずに、

偽装したものを出荷していたのだと思います。

 

いまやSNSでエゴサーチが出来る時代。

 

「熊本のアサリおいしい~」

 

なんてつぶやきすらも見ていないのでしょう。

 

万が一そうしたつぶやきを見てて、

心の中で「それ産地偽装してるけど」とほくそ笑んでいるのであれば、

その人は業種を変えた方がいいと思います。

 

「いや、だって無いんだもん」

 

時化(しけ)とか環境の変化、病気などによって、供給が無くなることはよくある事。

 

しかしそういう場合に

「他産地のものを黙って入れる」という選択肢は、断じてあり得ません。

 

実際、そういった選択をする業者は・・・まぁいない事もないですが、

流通業界においては信用がおけないので付き合いは無くなっていき、

さらに悪評が立って淘汰されていきます。

 

それが為されてこなかった今回の事件。

かなりの根深さを感じさせます。

 

■ 風評被害

 

これの何日か後に【熊本産のハマグリが風評被害】

というニュースが配信されておりました。

 

概要としては、

「熊本産のハマグリが売れないから引き取ってくれと言われ、返品扱いで戻ってきた。

それを漁協関係者が「風評被害」と嘆いている。」と言った内容。

 

思わず、ずっこけました。

 

漁協関係者はいわゆる「中の人」、渦中の人が、

こうした被害者意識をもって対応してしまうというのは、

組織的にかなり末期に感じます。

 

過去に某乳業の事件で、

マスコミに対して「私は寝てないんだ!」と叫んだ責任者がいましたが、

守るべきものの見積もりを全くしていないことの表れかと思います。

 

■ 大きなマイナスからの再スタート

 

守るべきもの。

 

それはお客さんの信頼、信用から始まって、

売ってくれる業者さん、運んでくれる業者さん、

自分のところの従業員、生産者になるかと思います。

 

こんな信用が失墜する大きな失敗をしたときに、

責任者には「いつも通りの仕事」はなくなります。

 

前の記事の漁協関係者は、

いつも通り、日常的なインタビューと思っての「風評被害」発言かと思います。

 

大きなマイナスから始まる、緊急事態の仕事をしなければならない状況。

 

風評被害とぼやく前に、

①素早く正しい偽装した数の調査、

②調査結果を包み隠さず公表、

③事件への対策、対応発表、

④万が一対策に漏れが生じた場合の対処する部隊選定、

⑤ブランド価値を再び取り戻すための基準策定、

⑥それを守る体制の発表

 

これらを素早く、素早くやらなければ、

時間とともにブランド価値のマイナスが広がっていきます。

 

時間との戦いです。

といっても第一報から1週間以上経過。

いま②くらいまで行ってるんでしょうか?

 

■ 模倣すべき好例

 

もはや手遅れかもしれませんが、

マイナスからのスタートで熊本県は好例をもっています。

 

水俣病で風評被害を受けた、JAあしきたの農産品です。

 

水俣病はメチル水銀を川に排出し、

その近辺の海産物を食べた方に異変を生じさせた公害のひとつ。

 

農産品に問題はなかったのですが、

公害の名称に地域名がついてしまった為、かなりの苦労をしたそうです。

 

その逆境から、徹底的に安心安全を約束した「あしきたブランド」を展開。

 

たまねぎに始まりトマト、そして畜産物にいたるまで、

時間はかかりましたがブランディングに成功いたしました。

 

この好例を、今こそ模範とするべきだと思います。

このJAの担当者もリブランディング組織にいれましょう。

 

■ 体制をかえる

 

起きてしまっている状況は変わり様がありませんので、

素早く、素早く、素早く物事に対処する必要があります。

 

それは現状の体制では難しい事。

 

末端のお客さんを見ずに、常態化した偽装を見過ごしてきた体制では、

どうにもならないかと思います。

 

この現状を憂う有志が募って、

熱い気持ちをもって打破していかなければ、

熊本アサリ、いや海産物のブランドは回復は難しいのではないでしょうか。

 

■ まとめ

 

騙されたことへの悔しさ、悲しさから、

なんだか長文となってしまいました。

 

熊本アサリのアクアパッツァ

また美味しいアクアパッツァが食べられることを祈りつつ・・・。

 

いっとうものでした。