ジリリリジリリリリリリリン!!
僕は目覚ましの音で飛び起きた。
時刻は午前8時を指している。
今日は付き合い始めて間もない彼女との二回目のデートの日だ。
前回は亡くなった小粋でおしゃれなおじいさんの、小粋な金色の時計の悪戯のお陰で
”僕の彼女に対する好きだという気持ち”
を確かめさせられたが、その日以来僕はこの金色の時計をとても気に入り、
毎日身につけている。
あの時からこの金色の時計は一度も狂っていない。
待ち合わせ時間は前回と同じ11時で、場所も同じコーヒーショップだ。
店の前まで来て僕は時計の針に目をやった。
時刻は10時50分を指している。
僕は勢いよくドアを開け、店の中を見渡すと、すぐに彼女の姿が目に入った。
そんな僕に気が付いた彼女は、いきなり席を立ったかと思うと
急ぎ足で僕のところまで駆け寄って来て、ガバッと僕に抱き付いてきた。
「一体どうしたんだ?」
と僕は尋ねた。
すると彼女は涙声でこう答える。
「どうしたも何もないわよ!今何時だと思っているの?
事故にでも遭ったんじゃないかと心配してたんだから!!」
僕はひょっとして、と思い、金色の時計の針を見ると、時刻は午後1時を指していた。
(なるほど・・・)
その瞬間、前回と同じように僕の脳裏に優しかったおじいさんの笑顔が浮かんだ。
(今回は彼女の僕に対する気持ちを確かめてくれたんだな)
僕は、懸命な言い訳をしようと試みる。
「この金色の時計が・・・・・・ いや、なんでもない」
言い訳を諦めた僕は、彼女のことを強く抱き締めた。
完
ーこの作品は前回を読んでない方には、なんのこっちゃ?でしょうが、
まあ、許して下さい。
読み返してみて、内容的に顔から火が出そうになりましたが、
思い切って載せました。ー
一斗