猫猫猫 | さすらい人の徒然日記

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猫は、作家の創造精神を刺激する生き物なのだろうか?


ボードレールの詩集『悪の華』には、
「猫」と題された詩が3篇もある。
そして、シュトルムには「猫について」という詩がある。


小説で言えば、有名な夏目漱石の『吾輩は猫である』を始め、
内田百閒の『贋作吾輩は猫である』、
萩原朔太郎の『猫町』、
海外に目を転じれば、ホフマンの『牡猫ムルの人生観』、
ケラーの短篇小説『仔猫シュピーゲル』、
ポーの『黒猫』などがある。
それから、ペローの同名童話に基づく
ティークの戯曲『長靴を履いた牡猫』もある。


最近読んだ本で、犬が活躍する作品というと…、
シュティフターの小説「男やもめ」があるくらいだなあ。
探せば、ウィーダの『フランダースの犬』や
ジャック・ロンドンの『野生の呼び声』や『白い牙』、
コナン・ドイルのホームズ・シリーズである
『四つの署名』もあるけどね。






「猫」  ボードレール:詩集『悪の華』より(鈴木信太郎・訳)


熱烈な恋に耽った恋人も 謹厳な学究たちも、
円熟した齢(よわい)になると、一様に 猫を愛する。
威厳があって穏やかで、家の誇りとする猫は、
彼らの如く 塞がりで じっとわが家に籠もりがち。


学問の友だちであり 逸楽の仲間の猫は、
沈黙を 絶えず求めて 暗黒の恐怖を好む。
もし猫が 矜恃を矯めて 隷属を忍び得るなら、
冥府の王は 葬送の柩車の馬としていただろう。


猫が 想いに沈むとき、孤独の底にながながと
身を横臥えて 果てしない夢想のなかに眠入っている
巨大なスフィンクス像の高貴な姿 そのままだ。


豊かに受胎する腰は 魔法の火花に閃めいて、
真砂にも似た 金色の微粒子は その神秘的な
瞳孔に 星のごとく茫漠と輝いている。
               (注:漢字表記を一部改変)