いってつのブログ

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あるIT企業を起業。社員40名程の規模でうつ病を発症。
その後、某精神病院の隔離病棟に数ヶ月入院することになる。
ゆかいな精神病患者たちとの交流記や、闘病記。あとはお金のこと。
すべて実話です。

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ところで、当時生計を立てていた、脱法ハーブ販売。

 

警察の規制とイタチごっこをしていた。

数か月に一度、規制品目が更新され、これまで販売していたものが禁止薬物に指定される。

 

規制されると、化学式の端っこの方をちょっと変えて、別の物質にして販売される。

その繰り返し。

 

第2世代とか第3世代程度なら、元々の薬物がどんなものだかわかるし、元々の薬物からそれほどかけ離れていない。

だけど、第5世代とか第6世代となってくると、だんだん、元の薬物からはかけ離れたものになっていく。

それは、どんな効き目やら、元が何だったのかも、よくわからなくなってくる。

 

売り文句がわからないのだ。

 

←当時、僕が売っていた脱法ハーブのラベルのひとつ

 

では、自分で使ってみよう。

試飲して、その効果の程を確認してから、売り文句を考える。

 

当時、売っていた、ほとんどの商品に手を出していた。

煙草にまぶして、火をつけて一息。

その瞬間に、全身が硬直して、後頭部からアスファルトにズゴーンと倒れたこともあった。

 

助けてくれて救急車を呼んでくれた人が「ズゴーン」と音がした、と言っていたのだ。

 

「ほんの微量で十分です。使いすぎに注意。」

その商品の当時の売り文句には、僕はこのように書いていた。

 

綺麗なピンク色の液体状のリキッド。

見た目はかわいいが、効き目はえげつない。

数時間の記憶がなくなり、昼だか夜だかもわからない生活。

意識を失ったまま、失禁していた。

 

最初は味見のつもりだった。

どんな、売り文句を書けば売れるのだろう?と考えながら、使ってみた。

それが、日常になっていく。

 

手を伸ばせば、そこには売るほど、脱法ハーブの山があった。

売っていたのだから。

 

仕入れ先も、怪しむ。

「いってつさん、最近ちょっとおかしくないですか?大丈夫ですか?ろれつが回っていないですよ?」

「まさか、商品に手を出してないですよね?」

「大丈夫、大丈夫」と言いながら、まったくもって大丈夫ではない。

 

家族が家にいるわずかな時間だけ、正気を保ち、それ以外の時間は白目向いて泡を吹いているような状態。

 

本人は正気でいるつもりだが、家族だってバカじゃない。

何かが起きている、と気づいている。

 

 

 

精神病院の隔離病棟での非日常の話へ

 

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脱法ハーブには様々なかたちがある。

 

白い粉状のもの。

透明の結晶のようなもの。

これらは、バスソルトと呼ばれていた。

お風呂の入浴剤として販売されていたのだ。

 

ピンクや黄色、水色、紫色のカラフルな液体。

小さな透明のプラスチックボトルに入れて売られていた。

これらは、アロマリキッドと呼ばれていた。

 

茶色のガラスボトルに入った、揮発性の高い液体。

これは、巷ではRushと呼ばれるもので、CDなどのレーザーヘッド部分の洗浄剤として売られていた。

 

いずれも人体摂取が目的ではないよ、という建付け。

 

それらはアルミニュームコーティングのパッケージに入れて売られる。

直射日光や湿気を遮断するためのものだ。

 

そして、パッケージのラベルはアート。

ラベルが売り上げを左右するという部分もある。

 

 

絵柄は、効き目を連想させるもの?

エロティックな絵柄の脱法ハーブは、媚薬的な効き方をする。(ものもある)

 

幻想的な絵柄は、まったりする効き方?(だったりすることもある)

絵柄はお笑い系?みたいだけど、一服すると痙攣して卒倒してしまうようなものもあった。

 

ハイ&ロー

銘柄によって、効き方は様々。

 

 

さて、そのお味はいかに。

 

決して、美味しいと言えるものはひとつもなかった。

 

良くて無味無臭。

ほとんどは、強い刺激を感じたり、強い苦みを感じる。

 

人間の本能で苦みは危険を察知するためのものとも言われているが、その通りだと思う。

 

バスソルトなんて、食えたもんじゃありません。

ま、タバコなどにつけて吸うものが多いのですが。

 

さて、アロマリキッド。

強い味の飲み物に入れて飲めば、なんとか飲める。

でも、胃に入ってしばらくすると、強烈な吐き気をもよおしたりするものもある。

 

もっと楽な方法がある。

 

直腸からの摂取。

お尻から入れて吸収すると、一切、吐き気をもよおすこともなく、無駄なく吸収できる。

そして、効き目も早い。

 

口からの摂取だと、効いてくるまで小一時間かかることも多いのだけど、お尻からの注入だと30分もしないで、デロデロになる。

急激にガッツリ効いてしまうので、オーバードープしやすいのだが。

 

お尻から入れる時は、なるべく薄めない。

薄めて量が多くなると、浣腸したような状態になり、トイレに行きたくなる。

せっかく摂取したものを出してしまうことになる。

 

なので、濃い原液を少量注入するわけだ。

この方法だと、余計にオーバードープしやすい。(笑)

(Xvideoとか、Pormhubに、女の子のお尻に注入する危ないビデオがUpLoadされていますよね。)

 

来る日も来る日もオーバードープ。

このころ、在庫の半分くらいを自分で使って、半分くらいを販売していたかな。

 

今になって思えば、完全に、ジャンキーまっしぐら、でしたー。

なるべくしてなった、隔離病棟への強制入院ですね・・・。

 

 

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このブログを書いて8年程経った。

読み返してみると、昨日ことのように思い出すこともあれば、遠い昔の話のような部分もある。

 

当時、書かなかったことや、偽って書いていたことを、今更ながら正直に書いてみたいと思う。

 

うつ病になって、その後、自殺未遂で入院と書いたけど、そんな状態で精神病院の閉鎖病棟の保護室には入ることはほとんどない。

 

鉄格子に囲まれた精神病院の閉鎖病棟。

中でも、暴れたり、自傷したりする患者は保護室という名の24時間監視の鉄格子の独房部屋に入れられる。

片隅に仕切りもなく便器の穴だけが開いたこの部屋には、何も持ち込めず、あるのは芯を抜いたトイレットペーパーのみ。
(便器の水すら自分では流すことができない)

 

うつ病で入院して、そんな部屋に特別に持ち込まれたベットに手足胴体を縛られたり、なんて、するわけがない。

ホンモノの基地外だけが、この部屋に送り込まれる。

 

なんで、僕がこの部屋の住人になったのか?

 

扶養家族3人を抱えて、しかも、私立高校と来年受験の中学生を抱えての失業。

一番お金のかかる時期。

僕は、失業しても家族を養わなければならなかった。

 

思いつくあらゆることを試してみる。

アフィリエイトから、今でいうところの「せどり」とか。

真面目にECサイトを作ってみたりもした。

 

しかし、世の中そんなに甘くはない。

 

そんな中で目についた商売。

「脱法ハーブ販売」

うつ病で寝たきりのような状態になっていた僕は、脱法ハーブの販売で生計を立てていた。

屋号は「香乃屋」と、名付けた。

 

脱法なので、かろうじて違法ではない。

その後、包括規制されるまでの間は、世間に出回ってから、禁止薬物に指定されるまでの短い間は違法ではなかったのだ。

 

当時のサイトの残骸を見ると、次のように書かれていた。

新着情報

2013/2/1

<ハーブ規制の状況>

■第4世代
2011/10/20 販売終了
■第5世代
2012/7/1 販売終了
■第6世代
2012/11/16 販売終了
■第7世代
2013/1/16 販売終了

 

数か月に一度、警察の取り締まり品目が更新される。

それを第〇世代と呼んでいたのだ。

 

仕入れは九州の業者。

たしか、「SAMURAIなんちゃら」という名前だったような気がするが、よく覚えていない。

後に知ることになったのだが、そこの仕入れ先は香港だったようだ。

(その後、当時の日本側発注元の化学者と知り合いになるとは、当時は想像だにしなかった。)

 

2011年から数年間、脱法ハーブの売り上げで飯を食ってきた。

←当時売っていた脱法ハーブのひとつ

 

売値は、種類にもよるが、1袋3000円~5000円程度。

仕入れ値は1/3~1/2位の金額だった。

結構売れた。


液体状のもの、粉末状のものなど、様々だ。

粉末状のものは、透明ないし、白色のものが多かった。

液体状のものは、鮮やかなピンクとか、ブルー、黄色など、さまざまな色が着いていた。

揮発性の高い、Rushというのは、鼻に近づけて吸い込むものだ。

 

粉末や液体の味は、苦いものが多い。

中には、飲んだ後、吐き気をもよおすものもある。

人によっては医療用カプセルに詰めて飲む人もいたらしい。

 

でも、これはやめた方がよい。

カプセルなんかに詰めて飲むと、たいていオーバードープになる。

 

救急車のお世話になるのはこういう輩だ。

とはいえ、僕自身も、当時、何度も救急車にはお世話になるのだが・・・。

 

 

 

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主治医より退院許可が出る。

ちょうどこの頃、「このまま、この基地外たちと一緒にいたら、僕は気が狂うだろう」と思い始めていた。

あとである人から聞いたのは、「そう思えるようになったら退院の時期」だそうな。

入院期間は3ヵ月。
長かった。

ふと、入院保険の計算をしてみる。

加入している○○生命の終身保険では入院1日あたり3000円。
県民共済では入院1日あたり5000円。


つまり、○○生命
90日×3000円=27万円

県民共済
90日×5000円=45万円

両方足すと
27万円+45万円=72万円


わはは!こりゃ、大金だ!

銀行口座がマイナス120万円程になっているので、かなり復活できるぞ。


請求方法は簡単。
医師の診断書と入院の証明になるものを郵送するだけ。


実は入院中も、「今日一日我慢すれば8000円。」って、考えながら日々を過ごしていた。

○月○日「8000円」
○月○日「8000円」
○月○日「8000円」
カレンダーに×印をつけるたびに「8000円」って、思っていた。



が、世の中、そんなに甘くなかった。

後日談にはなるのだが、入院理由が自己過失ということでは、保険金の支払いはされない。

えー、そういうものなのー?

取らぬ狸の皮算用とはまさにこのこと。


脱法ドラッグや処方薬の多量摂取のことを医師に黙っていれば保険金は出たものの、正直に打ち明けた人は保険金ゼロ。
つまり、自殺未遂とかの場合は、保険金は出ないってことね。
知らなかった・・・。


そういえば、看護師にも言われたなぁ。
「多量摂取のことを正直に打ち明けてくれてよかったですよ。症状と診断結果が一致せずに医師ともども不思議に考えていたものですから・・・。」


世の中って、そういうものだよね。


請求後、2ヶ月程度の調査期間を経て、振り込まれたのは医師の診断書の実費(8000円と5000円)のみでした。


3ヶ月間、大変、お疲れ様でした。ふぅ。
ひとまず、このブログもお休みさせていただきます。


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入院59日目

ロビーでくつろいでいると、横に立っていた看護師が口をあけたまま中庭を指差していた。

中庭には半裸の男が走っていた。
中庭を斜めに横切っている。

男はなぜか、体中にトイレットペーパーを巻きつけていた。
そのペーパーが風になびく(笑)


あわてて若い男性看護師が3人ほど、出口の扉にカードキーをあて、外に飛び出す。


半裸のペーパー男(仮名)は格子状の針金でできているフェンスをよじ登っている。

格子状のフェンスは2mほどあり、その上には内側にハングアップする形で鉄条網が2本引いてある。


その鉄条網の1本目に手をかけ、ぶら下がる状態になる瞬間に看護師が追いつく。

1本の足にしがみつくような形で半裸のペーパー男を引きづり下ろす。


間一髪、脱走事件を免れた瞬間だ。


後の検証で判明するのだが、僕が一晩中蹴りまくっても破れなかったアクリル板を、一部切り取ってそこから脱出したらしい。恐るべし。

鉄格子と窓の隙間は20数センチ。
人間がギリギリ通れるかどうかのわずかの隙間。
この隙間を通り抜けたらしい。


隔離病棟の建物はL字型をしており、交差部分に監視所でもあるナースステーションがある。
ナースステーションの目の前が、くつろぎのスペース、ロビーだ。

だから、この場所に立つと90度、目線をずらすだけですべての病室を見ることができる。(刑務所のつくりと一緒)
L字の付け根の部分と中間点あたりに独房(保護室)が数箇所設置されている。

半裸ペーパー男は、僕が入っていたのとは反対側の独房(保護室)に収容されており、アクリル板にはひびが入っていたようだ。
そのアクリル板を引き裂いて窓の隙間から脱出したわけだ。


彼は捕まった時、「ラピュタと自由を愛している。」などと訳のわからない言葉を発していた。
「ラピュタ」とはジブリ映画の「天空の城ラピュタ」のことらしい。


そして彼の短い脱走劇は終了する。


その後、手足拘束され、強い鎮静剤を打たれたことは言うまでも無い。


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