複数の郷士が刀に手をかける
龍馬さんは、ピストルで応戦しようとしていた
ただ…
前に負傷した手がまだ完治しておらず、ピストルも刀も、思うように操れないかもしれない
「坂本、覚悟!!!」
その声と同時に、構えていた郷士が一斉に龍馬さんに斬りかかる
『だめーーーっ!!!』
そう叫んだ私は、無我夢中で刀の間に飛び出していた
そして、龍馬さんに抱きついた…
ざくっと斬られる音がして、背中が燃えるように熱くなる
「…○、○○ーーっ!!!」
遠くで龍馬さんが私を呼ぶ声が聞こえる
背中が熱いのは、私が袈裟懸けに斬られたからで
そこから止め処なく血が流れてるようだった
「くそ…っ、○○、ちくっと待っちょれ」
ピストルを刀に持ち替え、応戦する龍馬さんだったが…
いくら龍馬さんでも、怪我してる上に多勢に無勢…
ひるんだ隙を相手が逃すことはなく、龍馬さんからも血が流れることとなる
ズシン…っと、大きなものが畳に沈む音が聞こえた
確認するまでもなく、それは龍馬さんだった
龍馬さんが動かなくなるのを確認し、郷士のひとりが、もうよい、と言ったのを最後に、ここを後にしていった
そして…
残された私たちは、もう動く事もできず、ただ傍に寄り添って倒れていた
「○○、おまんと逢えて、わしはまっこと嬉しいぜよ…」
『私もです、龍馬さん…』
最後の力を振り絞って、手と手を繋ぐ
まだ、温もりが残る互いの手だった
今度生まれ変わったら、私の生まれた時代で、彼と生きてみたいな…
その時代は、あなたが望んだ日本になっているかな
そんなことを思いながら、私の意識は深く深く沈んでいった
そして、繋がれていた手はどちらからともなく、ただ重なるだけになっていった
曲がりくねった道の先でみつけたものは、遠のく意識の中で誓った、来世への願いの光
今は互いに命が果てても、生まれ変わったらまた巡り合えますように…
そして、一緒になることができますように…
―曲がりくねった道の先に~WINDING ROAD~【坂本龍馬】・完―
風エンド