参加させていただいている艶ママグルの9月号の冊子投稿分です♪


今月は高杉さんのお誕生日もあり、お祝いの意味も込めて1作書かせてもらいました


誕生日当日の盛り上がりに乗り遅れ、日にちは過ぎてしまってからのUPだけど、そこはドンマイ☆←




現代版の高杉さんのお話です


よかったらご覧ください




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つまらない喧嘩をしてしまった


もうすぐ彼の誕生日だというのに、些細な事でぶつかって、お互い意地を張って…


連絡を取らなくなって1週間経った




彼と来るはずだった海へ来た


夏も終わりの海岸は、海水浴の人もまばらで、少し物寂しい雰囲気がある


海風が髪をさらい、スカートを揺らす




波音が消してくれることを願い、思いを吐き出す


波がさらってくれることを願い、砂に思いをぶつける


『何よ、あんなことくらいで怒って…』


―あなたなんて大嫌い―


『大体いつも自己中なのよ』


―自分勝手な俺様!―


『なんでこんな人、好きになったんだろう』


―私ばっかり…―




『なんで私ばっかり…』


―こんなに好きなのよ―


『高杉さんなんて…!』



―だ い す き―



波がこの文字をさらうのと同時に、私にすっと陰が落ちているのに気がついた


「俺が何だって?」


聞きなれた声…


『高杉…さん』


驚きすぎて、振り返ることもできない


「ブツブツ言いながら、何書いてたんだ 言ってみろよ」



目を合わせることなく、半ば自棄に言い放つ


『あなたなんて…嫌いって書いてました』


「ほう それで?」


『自分勝手で、自己中で…』


「それから?」


泣くまいと思っていたのに、涙が滲んでくる



言葉に詰まったその時、彼がふっと鼻で笑って、


「俺がお前のことどう思ってるか知りたいか?」


『え…?』


突然何を言い出すんだろう


「俺が今日ここに来た理由だ」


そういって、彼はおもむろに携帯を取り出し、待ち受け画面を私に見せた


『これ…!』


そこには、満面の笑顔の私…


「お前、俺の前ではこんな顔しているぞ 自分でわかってないだろうが…


俺のことが好きで好きでたまらないという顔だ」


見たことのない自分の顔に赤面しながら、言われたことが図星で悔しさが隠せない


「だから、さっき最後になんて書いてたのか言ってみろよ」


…言うもんか、と思っていた


でも、彼の携帯の待受…


彼の目を真っ直ぐ見て、覚悟を決めた


『高杉さんなんて…』


「俺なんて?」


「大好き!って書いてました!」


涙目になりながらも堪え、目を逸らさずに大きな声で伝える


やっぱりな、と言いながらも、彼は勝ち誇ったような、でも少し照れたような、嬉しそうにも見えるような表情を浮かべた

その表情に、私は弱い


喧嘩していたことも、意地を張っていたことも、忘れてしまいそうになる



「なぁ…誕生日に欲しいものがあるんだが」


また唐突に、彼が切り出した


『何ですか?』


喧嘩して以来、欲しいものも聞けていなかったし、もちろん用意などしていなかったから、その申し出に少し驚きながらもホッとした


短い息をふっとついた彼が、私の目を真っ直ぐ射抜いて言った言葉は…


「お前の残りの人生だ」


『え…?』


頭が真っ白になる


それって、もしかして…


「俺と結婚しろよ」


ケッコン…?結婚って言った?

驚きすぎて、またも何も言えない私に、


「返事は…決まってるよな?」


相変わらずの、有無を言わせない口調


『あなたの荷物になるかもしれませんよ?』


「お前ひとり背負うくらい、何ということはない」


『あなたの言動につっかかるかもしれませんよ?』


「そういう時のお前の顔もたまらなくいい」


どんなことを言っても、私の答えはもう決まっていた


『ずっとずっと…私だけを見ていてくれたら…』


「お前が、俺が他を見ないほどの女で居ればいい」


どこまでも俺様で、自信家な彼


射抜くような瞳で私を虜にして離さない彼


「一生かけて、俺を骨抜きにしろよ」


そんな彼の言葉に軽い眩暈を覚えながら、大きくひとつ頷いて、彼の広い胸に飛び込んだ




私の、one and only・・・


最愛のこの人と歩む人生が、ここから始まろうとしていた






―one and only…【高杉晋作】・完―