ご無沙汰しております
里桜です
少しの充電期間を経て、ぼちぼち復帰します
充電したからといって、作風など何も変わってはおりませんが(汗)
ゆるゆると駄作を更新していきたいと思います
またお付き合いいただけると嬉しいです
復帰(←大げさwww)1作目は、沖田さんのお話
ヒロインちゃんが、まだ藍屋さんで新造になったばかりの頃のことです
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それは、まだ私が藍屋の新造となって間もない頃のことだった―
三味線のお稽古が少し長引き、あたりは夕から夜へと移り変わろうとしていた
花里ちゃんと一緒だったから怖くはなかったけど、それでも現代みたいに街灯もない通りは、少しだけ不安な気持ちになる
そんな中、少しだけ近道しようと、いつもは通らない路地に入る
人通りが少ない
『○○はん、早く通り抜けてしまおうな』
慣れている花里ちゃんでも不安なのか、自然と急ぎ足になっていく
角を曲がったとき、大勢の人の気配を感じた
何やらぼそぼそと相談ごとをしているようだ
「…が、徳川を…」
「我々長州が……」
ところどころ聞こえる会話から、どうやら長州の人たちみたいだけど
正直私にはよくわからない
でも、何となくまずいところに出くわしてしまったかもしれないということだけは感じた
『花里ちゃん、来た道を戻ろう』
そう慌てて引き返そうとしたとき、小石に躓いて転んでしまった
『きゃっ…』
口を塞いだときにはもう遅く、その浪士風の男の人たちが一斉にこちらを見ていた
「なんだお前たち 今の話…聞いてたのか?」
『い…いえ!何も…』
二人でぶんぶん首を振るだけで、怖くてこれ以上の言葉が出なかった
「そんなわけねぇよなぁ…どこから聞いてたんだ?
悪い事をする娘にはお仕置きしねぇとなぁ」
鞘に手をかけた男が近寄ってくる
怖い…怖い…
誰か助けて・・・!
「何をしているのです」
この声は…
耳にしたことのある声
でも私が知ってる優しいトーンではなくて、針のように研ぎ澄まされた、頭の奥まで突き抜ける鋭さを持つ声…
「なんだぁ、てめぇは」
浪士風の男がギロっと睨む
血気逸った男達は、“密談”を邪魔され、更にこれから己らが“しようとしていること”を咎められたのが気に入らないらしく、言ったが早いか、“その男の人”に斬りかかる
もし間違ってなければ、この声の主は沖田さんだ
でも、私の知っている沖田さんの、いつもの優しい雰囲気がない
“その男の人”は、かかってくる一人の浪士に対し、抜き身で斬りつける
そこには寸分の無駄もなく、一瞬で浪士の真っ赤な鮮血が夕闇の空気に飛び散る
男が倒れ、静かに刀を下ろしたその人が口を開いた
「私は壬生浪士組副長助勤、沖田総司と申す者」
ミブロウシグミ…?
フクチョウジョキン…?
聞き慣れない言葉が耳に届く
でも、その人が名乗った名前は…
『沖田…さん?』
その声に気づいた沖田さんが、こちらを向き、一瞬驚いたような顔を見せる
しかしその顔は次第に、なぜこんなところにいるんだ、というような表情になり
…笑顔を見せた
―続―