浅い眠りからふと目が覚め、横を見る


まだ彼は仕事をしているのか、シーツは整ったままだ


ベッドから出て、書斎を覗く


まだ明かりはついていて、デスクに向かう彼の背中が見えた


邪魔をしないように、そっと覗いたつもりが…


「なんや、まだ起きてたんか」


くるっと振り向き、声をかけられ少し慌ててしまう


『ご、ごめんなさい、邪魔をしてしまいましたか?』


ははっと優しく笑った彼が、パソコンを閉じてゆっくり立ち上がる


「いや、ちょうど終わったとこや あんさんは…どうしましたんや?」


『いえ、あの…目が覚めたんで、ちょっと俊太郎さんの様子を見に来てしまったんです…』


本当のことなのに、なぜか照れくさくて思わず俯いてしまう


そんな私の頭をそっと撫でた彼が、ほうか、と一言言って、キッチンに入っていく


『…?』


なにやらカチャカチャと準備を始めた彼


「あんさんのことや、どうせ熟睡せずに何度も目を覚ましとったんやろ

ほら、ここに座り」


促されて座ったカウンターに、1杯のお茶が用意された


澄んだ、爽やかな香り…


『これ…ハーブティーですか?』


「せや ジャスミンティーどす」


『ジャスミンティー…?』


名前は聞いたことあるけど、飲んだことはない


彼が丁寧に説明してくれる


「ジャスミンティーはな、リラックス効果があるんや 心地よい眠りを誘ってくれる

これを飲んだらあんさんも、ゆっくり穏やかな眠りにつけるやろ」


…彼は何でもお見通しなのかな


なかなか眠れなかったなんて、一言も言ってないのに


「わても仕事のことで頭が疲れとるさかい

これでリラックスしますわ」


柔らかな湯気が立つ2つの揃いのティーカップが並ぶ


ひとつを手に取り、一口含む


爽やかな香りが体中を駆け抜け、同時に固まっていたものがほぐれるような心地よさを感じる


『…おいしいです』


「それはよかった」


満足げに微笑んだ彼が、同じようにカップを口に運ぶ


「眠れんときはこれが一番や」




飲み終えてほっと一息ついたとき、ふと彼に尋ねてみた


『俊太郎さん…私が眠れなかった本当の理由、わかりますか?』


「なんや、ただ眠れんだけと違うんか?」


このジャスミンティーは、今夜私を素直にしてくれる


『何度目覚めても、あなたが隣りにいなくて…

それで眠れなかったんです…』


恥ずかしくて前を向けなかったけど、ふっと顔を上げると、目を丸くして驚いた彼と目が合った


そして私の一番大好きな、優しい優しい笑顔で、


「こないにかいらしいこと言われるとは思いまへんどしたな」


そのまま私の目を真っ直ぐ真っ直ぐ射抜いて、


「ジャスミンティーなんか飲ますんやなかったわ


寝かしとうなくなった」


突然、大人の男性の色香を纏い、私の頬に触れる


そして静かに私を寝室へ促す


「さ、わてもベッドに入るさかい

あんさんも…」


パタン、と、寝室のドアは閉められた


まだほのかに残るジャスミンの香りに包まれて、優しい優しい夜を過ごす…






―midnight tea break~古高俊太郎~・完―




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はい!!


この続きは、ここまで読んでくださったアナタのステキな妄想で、どこまでもいっちゃってください(爆)



眠りを誘うジャスミンティーを出してくれる俊太郎様…


まだスリープ・マスターを引きずってるよwww

艶がドクターズ、威力すごいwww


きっとね、この俊太郎氏は今日は久々に夜勤がなくて


でも片付けなきゃいけない書類やら学会の準備やらあるんですよ、きっと!

細かいな…w


ちょうどウチのジャスミンが花を咲かせたんで、こんな話にしてみました(^O^)/